II-P-23
新生児危急心疾患に対するbil-PABの肺動脈の発育とその後の治療に対する影響
大阪市立総合医療センター小児循環器内科1),小児心臓血管外科2)
小澤有希1),村上洋介1),保田典子1),鈴木嗣敏1),江原英治1),前畠慶人2),川平洋一2),西垣恭一2)

【背景】近年,両側肺動脈絞扼術(bil-PAB)は,HLHSを含めて新生児危急心疾患の初期治療として施行される例が増えている.【目的】bil-PABの肺動脈の発育とその後の治療に対する影響を検討する.【対象と方法】2003年 6 月~2008年 9 月に,初期治療としてbil-PABを行い,絞扼解除を含めた次期治療を行った14例について,2 心室修復群(B群)と単心室修復群(F群)に分けて,肺動脈の発育とその後の治療に対する影響を後方視的に検討した.【結果】14例中,男/女;5/9例,B群/F群;7/7例.疾患は,B群;CoA/VSD 2,AP window/IAA 1,AP window/VSD 1,IAA/VSD 1,AA/VSD 1,truncus/CoA 1,F群; HLHS 6,TA(2c)/CoA 1であった.出生体重はB群;0.9~3.6(平均2.28)kg,2 例は手術時体重1,000g未満.F群;2.6~3.3(平均3.0)kg.bil-PAB時日齢はB群 1~32(平均7.3)日,F群 0~9(平均 3)日.B群 6 例で,bil-PAB後49~163(平均96)日にPAB解除し,術前PAIは167~220(平均192.5)であった.心内修復術後の心精査を終えているのは 4 例で,2 例で経皮的肺動脈形成術(PTA)を要し,最終の右室/左室圧比は0.3~0.62であった.手術時年齢1,000g以下の 2 例は,外科的肺動脈形成やPTA不要であった.F群では,2005年までの 4 例はNorwood + BDGを,2006年以降の 3 例ではNorwood + 体肺動脈短絡術を施行した.Norwoodは,bil-PAB後66~122 (平均101)日に行われ,Norwood前PAIは,46~359(平均144.8)であった.TCPC到達例は 2 例で,ともに外科的肺動脈形成とPTAを行い,TCPC前PAIはそれぞれ114/160であった.BDG後の 1 例でTCPCを断念した.3 例はBDG待機中であるが,3 例ともPTAを予定している.【結語】B群では,心内修復術後にPTAを要した例もあったが,手術時体重1,000g以下の 2 例においても心内修復手術後,肺動脈に対する追加治療を必要としなかった.F群では,TCPCに到達した 2 例,BDG待期中の 3 例全例で,外科的肺動脈形成やPTAを必要とした.

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