II-P-29
3T-MRIを用いた心臓3D造影MRIの有用性—肺高血圧を伴った心房中隔欠損症と右側全肺静脈右房還流異常症合併した小児例について—
昭和大学横浜市北部病院こどもセンター1),循環器センター2),昭和大学医学部小児科3)
松岡 孝1),西岡貴弘1),澤田まどか1),曽我恭司1),富田 英2),上村 茂2),藤井隆成3),岩崎順弥3)

【背景】肺高血圧合併例のCT検査時における容量負荷は心不全憎悪が懸念され,小児における放射線被曝も注目されている.3T-MRIは心臓領域に応用され始め,診断の難しい部分,肺静脈還流異常症の小児例に応用し,造影検査が短時間で形態描出が明瞭であり有用と考えられたので報告する.【症例】9 歳女児.肺高血圧を伴うASDと診断され当科紹介.心エコーでASDは後下方30mm,RA,RV,PAの拡大を認めた.心臓カテーテル検査では,MPA52/30(38),Ao70/50(58)mmHg,Qp/Qs = 2.0,Rp = 3.8であった.酸素負荷とNO負荷を行い,各負荷に反応する肺高血圧を認めた.肺血流が多く肺静脈の詳細が不明瞭であったため造影MRIを施行した.【方法】MRI撮影方法:MRI造影剤Gdを0.3ml/kg(計 6ml)を急速静注した.MRI装置はSIGNA HDx 3.0T(GE社製).信号収集系列はTRICKS(3D)法を用い,冠状断面を 3mm巾で1.5mmずつoverlapした76断面を 3 秒間で撮影収集し,連続した13相を撮影した.FOV 30mm,マトリックス256×192だった.造影の最適相を選びZIOSTATION(アミン(株)製)に転送し三次元像およびMPRおよびMIP像を構築し検討した.【結果】心臓カテーテル検査では,描出不明瞭であった右肺静脈還流部位が,上葉,中葉,下葉別個に右房に右後方から接合しているのが明瞭に描出された.また右上,中葉からの肺静脈開口部に近接して心房中隔を認めたが,下葉からの肺静脈開口部周囲は心房中隔欠損を認めた.静脈洞欠損を伴わない心房中隔欠損であった.【結語】3T-MRIではCTのように撮影開始のタイミングを予測した単相撮影でなく,最適な造影相を選択しクリアな画像を構築できた.また1.5Tに比べてより短時間で3D造影撮影が可能であった.

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