II-P-30
心臓MRIを用いた心室中隔欠損症に伴う大動脈弁逸脱検出の試み
昭和大学横浜市北部病院こどもセンター1),循環器センター2),昭和大学医学部小児科3)
澤田まどか1),西岡貴弘1),松岡 孝1),曽我恭司1),山邊陽子2),富田 英2),上村 茂2),藤井隆成3),岩崎順弥3),板橋家頭夫3)

【はじめに・目的】心室中隔欠損症(VSD)に伴う大動脈弁逸脱症(ACCH)は予後を規定する重要な合併症である.従来診断は心臓カテーテル(AG)の所見がgold standardとされている.今回非侵襲的検査である心臓MRI(MRI)がVSDに伴うACCHの診断に有用かどうか検討した.【方法】対象は2005年 7 月~2008年12月にVSD + ACCHと診断されAG・MRIを行った11例中,AGで明らかなACCHを認めた 5 例(6 カ月,1 歳,1 歳,4 歳,61歳).成人例を除く 4 例は催眠安静下で検査した.VSDの部位は肺動脈弁下 2例,傍膜様部 2 例,閉鎖が 1 例であった.MRIは1.5 Tesla(Signa twin speed,GE社).信号収集系列は定常状態自由歳差運動(SSFP)法であるFIESTA法を用いたcine MRI,short TR(18msec)での従来のcine MRIを用いた.撮像断面は冠状断・矢状断・横断・各種斜位断を用いた.ACCHの直接所見は大動脈弁尖(ACC)の逸脱の描出,間接所見は大動脈弁の単軸像を用い大動脈弁開放時のACCの弁輪側への変形とし,同時にVSDの位置の検討(VSD短絡血流の検出)を行った.さらに検出頻度,撮像方法,観察断面について検討した.【結果】ACCHの直接所見は 5 例中 4 例で認めた.膜様心室中隔瘤のあった 1 例は判定できなかった.撮像方法はFIESTA法で左室流出路矢状断面・左室長軸像で検出された.右冠尖逸脱が大きな症例や逸脱が無冠尖に及んだ例では左室流出路冠状断でも観察された.間接所見は全例で観察された.大動脈弁単軸断面のFEASTA法・short TRを用いたcine MRIで観察され,後者のほうがより鮮明に観察できた.VSD短絡血流は閉鎖しているものを除いた全例で検出され,大動脈弁との関係が明瞭に観察された.【まとめ】VSDに伴うACCHのMRI所見ではAGと同等に大動脈弁形態が観察可能で,加えてVSD短絡血流とACCHの接続が明瞭に観察された.MRIは非侵襲的なACCHの診断方法として有用と考えた.

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