II-P-32
早産児におけるTei index—パルスドプラ法(PD)と組織ドプラ法(TDI)の相関,影響する因子—
加古川市民病院小児科
村瀬真紀,石田明人

【目的】生後早期の早産児において,パルスドプラ法(PD)で評価したTei index(PD-Tei)と組織ドプライメージング(TDI)法で評価したTei index(TDI-Tei)の相関関係に影響する因子を検討する.【対象と方法】2004年 9 月~2007年 8 月に当院に入院したAFD極低出生体重児中,出生直後より経時的にTDIによる心機能評価を施行し得た52人を対象とした心エコーはPhilips Medical SONOS 5500に5.5/7.5MHzのプローブを装着し,生後 3,12,24,36,48,72,96時間,日齢 5,6,7,14,21,28に施行,TDIは原則として,心尖部よりの四腔断面における,僧帽弁(MV)・三尖弁(TV)弁輪部自由壁側において測定した.対象の平均在胎週数は29.4 ± 1.9週,平均出生体重は1,234 ± 189gであった.対象52人に対して生後 3 時間より日齢28までに,計676回のPD/TDI評価を施行し得た.【結果】(1)症例全体で,左室におけるPD-TeiとTDI-Teiは相関係数r = 0.33,p < 0.0001,右室におけるPD-TeiとTDI-Teiは相関係数r = 0.43,p < 0.0001で,いずれも有意な正の相関を認めた.(2)生後 3~48時間の左室において,出生体重 < 1,000gと ≧ 1,000gに分けると,前者はr = 0.30,p = 0.003,後者はr = 0.44,p < 0.0001で後者でやや相関が良かった.(3)在胎週数 < 28wと在胎週数 ≧ 28wに分けると,前者r = 0.42,p < 0.0001,後者r = 0.37,p < 0.0001で大差なかった.(4)呼吸障害によって分けると,人工換気施行児でr = 0.42,p < 0.0001,非施行児でr = 0.23,p = 0.075と後者は有意な相関を認めなかった.(5)心拍数 < 150と ≧ 150で分けると,前者はr = 0.47,p < 0.0001,後者はr = 0.31,p = 0.005で明らかに頻拍群で相関が低かった.(6)右室においてもほぼ同様の結果であった.【考案】早産児においては,従来の報告よりPD-TeiとTDI-Teiの相関係数が低いが,その相関関係に最も影響しているのは心拍数であり,やはりPD-Tei測定時の技術的問題が懸念される結果であった.在胎週数,出生体重,気管内挿管は影響が強くない.

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