II-P-33
小児における僧帽弁閉鎖不全の病態—術前後でのエコー所見を用いた考察—
静岡県立こども病院循環器科1),心臓血管外科2)
中田雅之1),新居正基1),佐藤慶介1),北村則子1),増本健一1),大崎真樹1),金 成海1),満下紀恵1),田中靖彦1),小野安生1),坂本喜三郎2)

【背景】小児期において僧帽弁形成を要する僧帽弁逆流(MR)は比較的まれであるが,小児特有の形成手技的問題点:狭窄病変を作りやすい,人工建索の長さの微調整が困難,成人用のmaterialの使用ができない等により,手術結果は必ずしも良好とはならない.僧帽弁逆流症例に対する治療適応,方針の決定を行う際,心エコー検査による原因検索,詳細な解剖学的情報が必要となるが,病変を詳細に検討した報告はまだ少ない.【目的】小児期において弁形成を要した僧帽弁逆流症例について,術前,術直後,遠隔期における心エコー所見を再度見直し,術結果との関連について後方視的検討を行った.【方法:対象】1997~2008年の間に当院にて弁形成を施行したMR症例18例.合併併心奇形はASD 2 型およびVSDのみとし,先天性僧帽弁狭窄症例は除外した.また,心筋症に伴ったMR症例も除外した.ビデオにてエコー所見を再評価し,弁輪サイズ,弁可動性,弁下組織,弁形態,MR重症度について検討した.【結果】男 7 女11.初回手術年齢 3 カ月~14歳 3 カ月(中央値 3 歳11カ月).ASD 4 例,VSD 3 例. 僧帽弁の主病変はMVP単独 9 例 ,cleft + MVP 9 例.初回手術前逆流の程度はMR3°11例,2~3°4 例,2°3 例.手術方法は,Kay Reed:10例,人工腱索移植:7 例,腱索短縮術:6 例,腱索移植:1 例,patch augmentation:2 例,cleft閉鎖:11例,Edge to edge:7 例,その他:4 例.再手術症 7 例のうち 4 例がMVRとなった.なお,MVR症例(6)の内訳:術前MR3°以上 5 例,2~3°1 例,また初回手術でMVRを必要としたのが 2 例.【結語】Cleft等,弁異型性が主病変のものは経過が良好であった.MVPが主病変である場合には,形成が困難となり僧帽弁置換を要するものが多い傾向を示した.今後,MVP症例における成績向上のためには,より詳細な術前の詳細なエコー評価・形成計画が必要と考えられた.

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