II-P-35
アネロイド式血圧計精度管理の重要性について
千葉県こども病院医療安全推進室1),循環器科2)
青墳裕之1),中島弘道2)

【背景】アネロイド式血圧計は,水銀式血圧計と比較し携帯性にすぐれまた水銀汚染の危険性がないなどの利点がある.しかし適切な点検を行わないと誤差を生ずる可能性が高いといわれ(高い報告では30~58%が不合格),6 カ月間隔の定期点検が勧められている.【目的】病院で使用中のすべてのアネロイド式血圧計について,一斉点検(初回および 6 カ月後)によりその精度を計測し,その管理法について検討すること.【方法】(1)院内一斉点検を行い(以後“初回”と表記),不合格の機器は修理または廃棄,新規購入した.6 カ月後に再度一斉検査を行った(以後“再検”).(2)点検法および結果判定法:a)カフ圧 0mmHgにおいて針が 0 点マークの範囲外にあるものは不合格とした.b) a)検査に合格したものについて,水銀式血圧計と被検血圧計をYチューブで連結し,水銀血圧計に300,250,200,150,100,50mmHgの圧を順にかけ,そのときのアネロイド血圧計の指示値を観察した.ワンポイント以上 ± 4mmHgを超える誤差のあるものを不合格とした.【結果】(1)検査台数は初回124台,再検125台,すべて携帯型であった.メーカーは全体で 8 台が海外社製,ほかはすべて国内社製.(2)上記 a)検査が不合格であったものは初回16.9%,再検6.4%であった.上記 b)検査にて不合格となったものは初回54.4%,再検23.1%であった.総合すると,不合格となった機器の割合は初回62.1%,再検28.0%であった.(3)誤差の大きさは ± 5~10mmHgが初回27.2%,再検18.0%, ± 11mmHg以上が初回27.2%,再検5.2%であった.誤差の大半はマイナス側への偏位であった.(4)再検では新規購入後 6 カ月以内の機器が54台あったが,うち16.7%が不合格であった.【結論】アネロイド式血圧計は,点検が非常に重要であり,一斉点検により精度は向上したが,6 カ月間隔の検査でも不合格は多かった.こまめな日常点検が非常に重要であり,またその特性を知って使用する必要がある.

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