II-P-37
Speckles tracking法を用いた小児左室長軸収縮の正常値の検討
徳島市民病院小児科1),徳島大学医学部小児科2)
大西達也1),森 一博1),早渕康信2),松岡 優1),香美祥二2)

【背景】近年,左室心筋長軸収縮(longitudinal strain,以下LS)の定量的測定がspeckles tracking法を用いることで可能となった.しかし,正常小児左室でのglobalなLSの報告はあるものの,多分割した局所心筋のLS正常値や時相に関する報告はされていない.【目的】正常小児の左室局所心筋II音出現時のLS(LSII)の正常値および,最大収縮(LSpeak)の出現時相を検討した.【対象】対象は正常小児70名(1 カ月~14歳,中央値13カ月,男児35名:女児35名).【方法】Vivid 7(GE横河)のautomated functional imagingを用いた.心尖部長軸断面・二腔断面・四腔断面を各 6 分割し,左室心筋の計18分割でLSIIの正常値および,LSpeakの出現時相を分析した.LSIIについては,核医学Bull’s eyeと同様の一括表示法で提示した.【結果】(1)正常小児のLSIIは,18分割で有意な差を認めず23.5 ± 3.9%であった.(2)LSIIは年齢による差を認めなかった.(3)LSpeakは,収縮期時間を100%とした時,II音から4.8 ± 4.9%の時相に認めた.【考察】正常小児の長軸方向の収縮(LSII)は,左室心筋局所のいずれも約23%前後で年齢による差を認めず,LSpeakの時相はII音にほぼ一致していた.これは,左室心筋の長軸方向への収縮力は18分割いずれでも均一で,かつ同期性が高いことを示している.本研究の正常値は,局所心筋障害の評価や心臓再同期療法の適応を決める際の正常値として臨床応用が期待され,複雑心奇形症例や未熟新生児の心機能評価の基準にもなり得る.

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