II-P-40
極低出生体重児における,不当軽量児の組織ドプラ法による左右心拡張機能の出生後の変化
名古屋第二赤十字病院小児科
横山岳彦,岩佐充二

【はじめに】われわれは不当軽量児(SFD)において,出生後12時間で,左室機能を示すstress-velocity関係および心拍出量が適正体重児(AFD)よりも高値であると報告した.出生前の胎内環境は拡張能や右心室機能にも影響を与えると思われる.そこで,SFDで左右心室の拡張能が,出生後どのように変化するかを検討したので報告する.【対象】2004年12月以降に当院NICUに入院した1,500g以下の極低出生体重児のうち,カテコラミン等の血管作動薬を使用しなかったAFD 6 例(1,052.0 ± 253.9g, 27週6.3日 ± 21.4),SFD 5 例(982.8 ± 323.8g,30週2.2日 ± 16.5).【方法】Philips社製SONOS 5500を用い,心尖部四腔断面で血流ドプラにて左室および右室流入路の拡張早期(E)と心房収縮期(A)の血流速度を測定しE/Aを算出,組織ドプラ法で僧帽弁輪および三尖弁輪自由壁側の早期拡張期(E’)および心房収縮期(A’)移動速度を測定し,E’/A’,E/E’を算出した.これらを生後12時間,24時間,48時間,96時間に行った.AFD群とSFD群を比較検討した.統計学的検討は,反復測定分散分析を行い,t検定および,p < 0.05を有意とした.測定を行うにあたって,保護者から文書による同意を得た.【結果】E,Aはすべての観測時間において,左室側,右室側ともに両群間に有意差はなかった.E’は右室側も左室側も,SFDのほうが有意に高い値であった.右心室側のE/A,E’/A’は両群間に有意差はなかったが,左心室側のE’/A’はSFDのほうが有意に高い値であった.E/E’においては右心室側で両群間に差を認めなかったが,左心系ではSFDのほうが有意に低い値であった.【結論】両心室とものSFD児の方が拡張早期の心筋の動きが良いと思われた.以上より,SFD児が胎内で受けてきた循環状態が出生後の両心室の拡張能に影響を与えていると思われた.

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