II-P-47
心不全を呈したVSD乳児における甲状腺機能と心血行動態の検討
新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野1),新潟青陵大学看護福祉心理学部看護科2)
渡辺健一1),鈴木 博1),長谷川聡1),沼野藤人1),羽二生尚訓1),内山 聖1),浅見 直2)

【背景】心血行動態と甲状腺機能との関連は多く報告されている.しかし,小児期の心不全と甲状腺機能の報告は少ない.【目的】心不全を呈したVSD乳児において,甲状腺機能異常の頻度を検討する.また,甲状腺機能と心血行動態の関連を検討する.【対象と方法】対象は,1997~2007年に心臓カテーテル検査目的で入院したVSD乳児24例,月齢 4~11カ月(平均7.6カ月).Down症候群児や他の心奇形を合併したものは除外した.心臓カテーテル検査前日に静脈採血にて,TSH, free T3, free T4を測定し,心臓カテーテル検査の各項目(HR, Qp/Qs. Rp, Rs, %LVEDV, %RVEDV, mPA圧, aAo圧)と甲状腺機能の関連を検討した.【結果】対象の体重は6.5 ± 1kg,Qp/Qs 2.8 ± 0.9,%LVEDV 185 ± 50 ,平均mPA圧48 ± 13mmHg,Rp 4.2 ± 2U・m2であった.TSHが5μU/ml以上かつ,free T3, free T4が正常範囲となるsubclinical hypothyroidismを24例中,3 例(12.5%)と高頻度に認めた.また,free T3が 3pg/ml以下かつfree T4が正常範囲となるlow T3 statusも24例中,5 例(20.8%)と高頻度であった.心血行動態と甲状腺機能との検討では,心拍数とTSHに負の相関を認めた(r = -0.53, p < 0.01)が,心拍数は他の心臓カテーテル検査項目との関連はなかった.【結論】従来の報告にある成人心不全患者と同様に,VSD心不全乳児においても甲状腺機能異常を高頻度に認めた.また,心不全乳児において甲状腺機能が心拍数の規定因子の一つである可能性が示唆された.

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