II-P-48
2D speckle tracking imagingを用いた川崎病急性期における心筋局所壁運動の経時的評価
大阪医科大学小児科1),大阪労災病院小児科2)
奥村謙一1,2),吉川聡介2),清水公一2),川村尚久2),岸 勘太1),森 保彦1),玉井 浩1)

【はじめに】川崎病急性期においてsubclinicalな心筋障害が存在することは知られているが,従来の心臓超音波検査では検出が困難である.2D speckle tracking imagingを用いて計測する心筋ストレインは,心筋局所の壁運動評価に鋭敏であるといわれている.今回われわれは川崎病患児における左室心筋ストレインの経時的変化について検討した.【対象】川崎病患児30名(男児21名,女児 9 名).【方法】川崎病発症後,治療前(急性期),治療直後(亜急性期),発症後約 1 カ月(回復期),遠隔期の 4 期に分けて,乳頭筋レベルの左室短軸断面における左室自由壁のradial strainを計測した.関心部位(ROI)は,左室自由壁中央部,内膜側および外膜側に設定し計測を行った.【結果】(1)左室自由壁中央部の急性期のradial strainは,回復期および遠隔期に比べ有意に低下していた(急性期0.49 ± 0.15,回復期0.70 ± 0.15(p < 0.001 vs 急性期),遠隔期0.78 ± 0.07(p < 0.001 vs 急性期)).(2)左室自由壁内膜側の急性期および亜急性期のradial strainは,遠隔期に比べ有意に低下していた(急性期0.75 ± 0.19(p < 0.001 vs 遠隔期),亜急性期0.82 ± 0.17(p < 0.05 vs 遠隔期),遠隔期0.99 ± 0.20).(3) 左室自由壁外膜側の急性期のradial strainは,遠隔期に比べ有意に低下していた(急性期0.18 ± 0.06(p < 0.05 vs 遠隔期),遠隔期0.28 ± 0.13).【考察】川崎病急性期における左室自由壁のradial strainは有意に低下し,回復期および遠隔期にかけて回復していく傾向が認められた.2D speckle tracking imagingを用いた心筋ストレインの計測は,川崎病急性期の心筋障害をより鋭敏に反映していると考えられた.

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