II-P-49
大動脈圧変化率を用いた非侵襲的左室収縮性の評価
埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科
関  満,先崎秀明,増谷 聡

【背景】左室圧最大変化率(LV dp/dtmax)は収縮性の変化を鋭敏に表すよい指標である.われわれは,これまで大動脈圧最大変化率(Ao dp/dtmax)とLV dp/dtmaxの比は,大動脈平均血圧(MAP)により規定されることを報告してきた.この関係を用いるとLV dp/dtmaxが非侵襲的に求められる可能性があり,臨床上非常に有用である.今回われわれは,この方法論の妥当性につき検討した.【方法】心臓カテーテル検査中に,LV圧を高精度圧測定用ガイドワイヤーを用いて測定し,LV dp/dtmaxを求めた.また,トノメトリーを使って同時に計測した上腕動脈の圧からAo dp/dtmaxを求め,カテーテルによる実測Ao dp/dtmaxとの相関式を算出し,トノメトリーによるAo dp/dtmaxを補正した(Ao dp/dtmax(T)).さらにAo dp/dtmax(T)とLV dp/dtmaxの比とMAPとの回帰式から,LV dp/dtmaxを推定した.対象は各種先天性心疾患21例である.【結果】Ao dp/dtmax(T)と実測Ao dp/dtmaxは非常によい正の相関を示した(r = 0.94).さらに,前回報告同様,Ao dp/dtmax(T)とLV dp/dtmaxの比はMAPによりr = 0.89で規定され,この式から算出した実測LV dp/dtmaxは,Ao dp/dtmax(T)から予測したLV dp/dtmaxとよい相関を示した(y = 0.89X + 88,r = 0.88,SEE = 77).【考察】先天性心疾患のLV dp/dtmaxは,上腕動脈におけるトノメトリーで測定した血圧波形から簡便に求めることができ,臨床上,非侵襲的に左室収縮性の評価が可能であり,非常に有用であると思われた.

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