II-P-50
乳幼児の狭窄性病変に対するsmall size stent留置の有用性
兵庫県立こども病院循環器科1),京都府立医科大学大学院医学研究科小児循環器・腎臓学2)
田中敏克1),齋木宏文1),富永健太1),藤田秀樹1),城戸佐知子1),岡建城2)

【背景】Original Palmaz stentは主に幼児期以降の狭窄性病変の拡大に使用されてきたが,体格の小さい乳幼児においてはそのinflexibilityと大きなシースサイズなどの問題から使用が限られる.したがって,バルーン血管形成術では効果が得られず,手術のリスクも高いと考えられる場合には,さまざまなsmall size stentの使用が必要となる.【目的】乳幼児の狭窄性病変に対するsmall size stent留置術の短期・中期の有用性を評価すること.【対象と方法】Palmaz以外のsmall size stentを留置した乳幼児 8 症例(体重 3~10kg中央値 8kg),11病変を対象とし,留置目的別にA群:次の手術までのbridgeとしてのpalliative placement, B群:根治術後の肺動脈狭窄の解除, C群:TAPVR術後のPVO解除,の三つに分け,診療録から術後の経過を調べた.【結果】全症例において合併症なく留置に成功した(1 例のみ術中の留置).A群(2 症例,2 病変,2 stent):RV-PA conduitおよび左肺動脈の狭窄に対しcoronary stentを留置し,その後 2 症例とも目的とする手術を施行できた.B群(2 症例,2 病変, 3 stent):Genesisを留置し,1 例は再狭窄に対し術後半年および 1 年時に再拡張を施行,他の 1 例も術後 1 年で再狭窄に対する拡張術を待機中.C群(4 症例,7 病変,7 stent):1 症例 2 病変に対しGenesis,3 症例 5 病変に対しCorinthianを留置した.全症例とも留置直後にはいったん状態は改善したが,両側に留置した 3 例はすべて死亡,片側のみに留置した生存例 1 例も留置後約半年で閉塞していた.【結語】Small size stentの留置術は,体格の小さい乳幼児においても安全に施行可能であり,短期的には有用である.特に次の外科手術までの短期間のbridging therapyとしては極めて有用である.しかし,根治術後の肺動脈狭窄やPVOに対しては,再狭窄や最大拡張径の観点から,留置後の治療戦略や適応について十分に検討したうえで使用すべきである.

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