II-P-51
狭窄したoriginal Blalock Taussig shuntに対しステント留置を行った成人ファロー四徴症の 1 例
聖隷浜松病院小児循環器科1),心臓血管外科2)
武田 紹1),中嶌八隅1),渕上 泰2),梅原伸大2),渡邊一正2),國井佳文2),小出昌秋2)

【はじめに】今回われわれは成人ファロー四徴症の左original BTsに対するステント留置を経験したので報告した.【症例】55歳男性,15歳時に左original BTs施行された.仕事中に眼前暗転や呼吸苦を自覚したため数十年ぶりに受診されHOTを導入された.一時的に有効であったが,次第に易疲労感が強くなり10分間の歩行で息切れを生じ,階段は 2 階までしか上がれなくなり入院した.本人は根治手術を拒否しており,またBUN 29mg/dl, Cr 1.83mg/dlと腎機能不全を認めたことからカテーテル治療を選択した.【カテーテル治療】7F rt. guiding cath.を左鎖骨下動脈に留置後造影しBTsと肺動脈の吻合部に狭窄を認めた.狭窄部径2.7×3.4mmに対しStarling 5mm 12atmで拡張,有効であったが再狭窄の可能性が高いと判断しステント留置した.大腿動脈からではBTs入口部の角度が急峻となることからPalmaz stentより追従性の良いGenesisを選択した.造影し位置をあわせたのち14atmで拡張し 5mmのGenesisを留置後Starling 6mmで後拡張し終了した.カテーテル前は経鼻酸素 3l/min投与下でPaO2 43.7mmHg, SaO2 76.7%, BNP 151.1pg/mlであったものがステント後はairでPaO2 52.2mmHg, SaO2 87.9%, BNP 80.1pg/mlと改善した.またステント 2M後にはBUN 31mg/dl, Cr 1.27mg/dと改善した.【考察】高齢のファロー四徴症においては心筋の脆弱性,側副血行路の発達,二次的に惹起された他の臓器合併症などのため手術リスクが高くなるといわれている.本例のように低酸素血症が進行した手術リスクの高いと思われる症例に対するBTsへのステント留置は手術を回避,あるいは根治術前の状態を改善するのに有用と思われた.

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