II-P-53
Amplatzer非適応例は経胸壁心エコー検査でどこまで診断可能か?
埼玉県立小児医療センター循環器科
菱谷 隆,伊藤怜司,河内貞貴,菅本健司,星野健司,小川 潔

【背景】心房中隔欠損のカテーテル治療の適応評価のために,一般的にはリスクを伴い侵襲的な経食道心エコー検査(TEE)が必須である.【目的】今回TEEにより非適応と判断した例の経胸壁心エコー(TTE)結果を検討し,TTEで判断可能であったかどうか後方視的に検討した.【方法】2007年10月~2008年12月に当院にて,経食道心エコー検査(TEE)を実施した51例(年齢;12.2 ± 3.4歳)のうち,ASO非適応例 9 例についてTEEとTTEの計測値を比較し,TTEのみで非適応判断可能かどうか検討した.全例静脈麻酔下に小児用multiplaneのTEE用probeを用いてASDの評価を行い,同日経胸壁からASDの評価を行った.【結果】ASO非適応例: 9 例(17.6%)(年齢9.8 ± 2.6歳),適応例:42例(12.7 ± 3.4歳)p < 0.01 非適応と判断したrimと計測値: (1)superior rim不足(4 例)TEE/TTEでの最小値: 0mm/0mm, 4.4mm/9mm, 0mm/5mm, 0mm/6mm(TTEではsuperior rimのSVC後側部分を剣状突起下または矢状断で観察),(2)posterior rim不足(2 例) TEE/TTEでの最小値: 5.6mm/4mm, 6.1mm/6mm (floppy),(3)CS rim不足(1 例) TEE/TTEでの最小値: 3.9mm/4mm,(4)IVC rim不足(1 例) TEE/TTEでの最小値: 0mm/1mm,(5)心房中隔長不足(1 例) TEE/TTEでの最小値: 37.1mm(max ASD径26.3)/43mm(max ASD径30mm).【結語】(1)非適応例はやや低年齢であった.(2)Superior rim欠損が一番多かった.(3)Posterior rim,CS rim, IVC rim, 心房中隔長の不足についてはTTEでほぼ正確に評価できた.Superior rimについては,SVC後方からAoまで長い距離にわたってsuperior rimが短いものはTTEでも非適応の診断可能であったが,Ao寄りのrimのみが短い場合は,TTEでは描出できず,限界があると考えられた.

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