II-P-57
動脈管開存に対するコイル閉鎖術の中長期成績
国立循環器病センター小児循環器診療部1),昭和大学横浜市北部病院循環器センター2),静岡県立こども病院循環器科3),OMMメディカルセンター4),えちごクリニック5)
高田秀実1),矢崎 諭1),杉山 央1),北野正尚1),富田 英2),小野安生3),木村晃二4),越後茂之5)

【背景】動脈管開存(patent ductus arteritosus: PDA)に対するコイル閉鎖術は本症に対する標準的な治療法の一つとして,広く行われている.本邦では1995年より行われており約14年が経過した.【目的】PDAに対するコイル閉鎖術の成績を検討する.【対象,方法】1995年 1 月~2008年12月に当センターで施行した213回のコイル閉鎖術(203例)を対象に診療録を用いて後方視的に検討した.男性72例,女性141例,コイル閉鎖術施行時年齢0.7~68(6.6)歳,施行時体重5.9~99.1(28.9)kg,心係数1.4~8.2(3.9)l/min/m2,肺体血流比0.7~3.4(1.2),肺血管抵抗0.5~8.5(1.5)であった(()は中央値).【結果】肺動脈側の動脈管径は0.4~5.6(2.3)mm,動脈管形態(Krichenko分類)はA 125,B 7,C 12,D 7,E 21であった.アプローチは順行性34,逆行性135,両方向性38,平均透視時間は26分であった.コイルはGianturco, detachable PDA coil,0.052 inch Gianturco,Redelが使用され,使用コイル数は 1~6(平均1.4)個であった.治療を断念したのは 4 例で,2 例は外科手術,残りの 2 例は再度コイル閉鎖術を行った.コイル留置中に起こったトラブルは脱落 4 例,accidental detach 3 例,再収納困難 3 例であったが,いずれも最終的にコイル閉鎖を行うことができた.術後一過性溶血 1 例,左肺動脈狭窄 5 例を認めたが,治療を要する症例はなかった.閉鎖率は術直後63%,1 カ月80%,1 年99%であった.心エコーにおける術後 1 年の左室拡張末期径は有意に減少した(p < 0.0001).全症例とも再開通や合併症なく経過している.【結論】動脈管開存に対するコイル閉鎖術は安全であり,閉鎖率も高く,長期予後も安定している.

閉じる