II-P-60
Fontan術前の肺動脈狭窄に対してステント留置術を施行した 4 例
埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科
関  満,岩本洋一,葭葉茂樹,石戸博隆,増谷 聡,竹田津未生,先崎秀明,小林俊樹

【背景】Fontan前段階においては末梢性肺動脈狭窄が存在することはまれではなく,その解除は良好なFontan循環成立に必要不可欠である.Balloonによる狭窄部解除は有用な手段の一つであるが,低圧系で尚かつ非拍動流となるFontan肺循環においては,再狭窄の可能性が高いことが懸念される.われわれはこの点を考慮し,Fontan術前に末梢肺動脈狭窄を呈していた 4 症例に対してステント留置術を施行した.【症例】症例 1:純型肺動脈閉鎖.生後 1 カ月,8 カ月時にそれぞれ左右のBTシャント術を施行.1 歳 3 カ月時,左肺動脈狭窄を認め,Glenn手術時に左肺動脈形成術を施行.1 歳 7 カ月時,左肺動脈の狭窄残存を認めステント留置術を施行.術後狭窄部は解除され,1 カ月後Fontan手術終了.症例 2:右室型単心室.生後 1 カ月時に肺動脈絞扼術を施行したが,術後右肺動脈狭窄を来し,生後 6 カ月時に肺動脈形成術 + central shunt術を施行.その後も肺動脈狭窄は残存.1 歳 8 カ月,Glenn手術時に肺動脈狭窄部に対し術中ステント留置術を施行.2 歳 3 カ月時にFontan手術終了.症例 3:右室型単心室,肺動脈狭窄症.左右肺動脈は両側動脈管よりおのおの起始しており,生後 1 カ月児時,uniforcalization + 右BTシャント術を施行.術後,左肺動脈の閉塞を来しバルーン拡大にて再開通.1 歳 4 カ月に肺動脈形成術,2 歳 3 カ月時にGlenn手術施行したが,肺動脈狭窄は残存し 3 歳 1 カ月時にステント留置.現在,Fontan待機中.症例 4:左心低形成症候群.生後 1 カ月に両側肺動脈絞扼術,8 カ月時にNorwood + Glenn手術を施行したが,術後左肺動脈狭窄を来した.1 歳 4 カ月時にステント留置術を施行,狭窄は解除され,現在Fontan待機中.【結語】Glenn手術が施行された患者のFontan術前において,肺動脈の狭窄やdistortionが存在する場合,内頸静脈からのstent留置による肺動脈形成術は,低圧系でかつ非拍動流というFontan肺循環の特性にみあった有効な手段であると考えられる.

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