II-P-61
左心低形成症候群に対するcovered stentによる両側肺動脈絞扼術の試み—再拡張の検討—
北里大学医学部小児科1),昭和大学横浜市北部病院小児科2)
中畑弥生1),富田 英2),安藤 寿1),木村純人1),石井正浩1)

左心低形成症候群(HLHS)に対するstage 1 の手術として両側肺動脈絞扼術(BLPAB)と動脈管ステント留置術の有効性が報告されているが,現時点ではBLPABのためには正中切開によるhybrid治療が必要である.そこでre-expandable covered stentを用いることでカテーテルによるBLPABおよびdebandingの可能性について検討した.【方法】Covered stentはPalmaz medium stent(Palmaz)およびExpress vascular LD stent(Express)にpolyurethaneでコーティング加工を施したものを用いた.留置用バルーンは拡大時にバルーンがダンベル型に広がるようにその中心部をあらかじめ絹糸で結紮しておいた.このバルーンを用いてステントを拡大することでステントの中心部は拡大されずに,狭窄をつくることが可能となる.全身麻酔下に 5 頭の幼年豚に対して上記の方法で両側肺動脈にcovered stentの留置を行った.【結果】(1)Polyurethane加工を施したPalmazおよびExpressをダンベル型に留置することにより左右肺動脈に狭窄を作成することが可能であった.(2)Expressをダンベル型に拡大した場合,狭窄部でステントのセルが重なり合い不整な狭窄となった.(3)Palmazの再拡張は可能であったが,セルが重なり合ったExpressの再拡張には限界があった.【結語】・Covered stentの留置により両側肺動脈絞扼術が可能であった.・ステントの素材やデザイン,バルーンのサイズや形についてさらなる検討が必要である.・Palmatz stentでは再拡張が可能であり,Norwood + Glenn手術を念頭に置いたHLHSのstage 1 治療としての可能性が示唆された.

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