II-P-62
先天性心疾患開心術に関連した心房頻拍に対するCARTOシステムを用いたアブレーション治療の有用性
九州大学病院循環器内科1),小児科2),PSクリニック3)
井上修二朗1),竹本真生1),向井 靖1),宗内 淳2),樗木晶子1),加治良一3),砂川賢二1)

【背景】先天性心疾患開心術後には広汎な変性右房心筋を基盤に切開線心房頻拍(IAT)が生じることが知られている.IATは心不全の増悪因子となり,しばしば薬物治療抵抗性でありアブレーション治療の有用性が期待され,その重要性は増してきている.【目的】今回われわれは2005年以降に当施設においてIATに対しCARTOシステムを用いてアブレーション治療を施行した連続 9 症例についての検討を行いIATに対するアブレーションにおけるCARTOシステムの有用性について検討した.【対象・方法】対象患者は21~73歳で,ファロー四徴症根治術後 6 例,心房中隔欠損症術後 1 例,三尖弁閉鎖症根治術後 1 例,右室二腔症修復および肺動脈弁置換術後 1 例であった.【結果】術後平均16年であった.9 例中 7 例で頻拍中のCARTOマッピングが可能であった.残り 2 例は洞調律下のsubstrateマッピングを行った.Voltageマッピングでは全症例で広範な低電位領域を認めた.9 症例中 7 例でIATの頻拍回路を同定することができ,アブレーション治療により平均観察期間23カ月でIATの再発を認めず(成功率78%),症状の改善も認められた.不成功例 2 例はいずれも開心術後の経過が長く,複数回の開心術施行例であった.【結語】先天性心疾患開心術後に合併した切開線心房頻拍は難治例もあるもののCARTOシステムを用いたアブレーションは成功率が比較的高く有用な方法であると考えられた.

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