II-P-63
Amplatzer septal occluder(ASO)によるASD閉鎖術前後の心拍出量の検討
聖マリア病院小児循環器科1),久留米大学医学部小児科2)
伊藤晋一1),須田憲治2),棚成嘉文1,2),家村素史2),松石豊次郎2)

【背景】Amplatzer septal occluder(ASO)による心房中隔欠損症(ASD)閉鎖術前後の血行動態にはまだ,不明な点が多い.【目的】ASOによるASD閉鎖術前後の心拍出量の変化について検討すること.【対象】2008年 8 月~2009年 1 月に,聖マリア病院でASOによるASD閉鎖術を行った12歳以上の18例.男 6 例,女12例,年齢32.5 ± 20.1(12~74歳).【方法】エドワーズライフサイエンス社のフロートラックセンサーとビジレオモニターを大腿動脈ラインに接続し,連続的に心拍出量を測定した.【結果】閉鎖前 5 分間の平均cardiac index(CI)と閉鎖後 1 分間の平均CIは,2.8 ± 0.4:3.2 ± 0.6で有意に閉鎖後 1 分間が高かった(p = 0.006).しかし時間が経過すると閉鎖後のCIは低下していき,閉鎖前 5 分間の平均CIと閉鎖後 2~6 分間の平均CIは2.8 ± 0.4:2.9 ± 0.4で有意差はなかった(p = 0.1051).また閉鎖前 5 分間の平均stroke volume(SV)と閉鎖後 1 分間の平均SVは37.8 ± 6.8:41.5 ± 7.6,閉鎖前 5 分間の心拍数と閉鎖後 1 分間の心拍数は75.6 ± 11.4 :86.4 ± 15.5でSV,心拍数ともに閉鎖後 1 分間が有意に上昇していた(p = 0.007,p = 0.004).Qp/Qsと閉鎖後 1 分間のCI上昇率には相関がなかったが(r = 0.23,p = 0.3651),device径と閉鎖後 1 分間のCI上昇率には相関が認められた(r = 0.558,p = 0.0147).閉鎖後 2~6 分間のCI上昇率と閉鎖前のCIには相関があり(r = 0.535,p = 0.0208),年齢と閉鎖前のCIも相関が認められた(r = 0.689,p = 0.0012).【結語】ASD閉鎖後のCIの上昇は一過性のものであり閉鎖後時間が経過すると順応していき,もとの状態に戻っていくが,年齢が高いと閉鎖後時間が経過してもCIは上昇したままである.またdeviceそのものが,CI上昇に関与している可能性が示唆された.

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