II-P-65
心房中隔欠損に対するカテーテル治療と外科治療
東京女子医科大学循環器小児科1),心臓血管外科2)
山村英司1),藤田修平1),清水美妃子1),池田亜希1),竹内大二1),森 善樹1),富松宏文1),黒澤博身2),中西敏雄1)

Amplatzerの閉鎖栓治療が開始され,心房中隔欠損の治療方針に関して外科治療との接点が変革してきた.当院で過去10年間に心房中隔閉鎖のため手術あるいはカテーテル治療を受けた症例は252名であった.手術症例は総数202例(男:女 = 77:152),年齢は27 ± 23歳,Amplatzer閉鎖栓治療成功例50例(男:女 = 18:32),年齢32 ± 12 歳(中央値26歳)であった.手術治療は127例で直接閉鎖,75例で心膜あるいは補填閉鎖していた.22例に心房中隔欠損以外の手術が同時に行われていた.房室弁形成術が10例,冠動脈バイパスが 2 例,不整脈治療が 7 例に行われた.カテーテル閉鎖術は54例に試みられ,50例で留置に成功した.カテーテル閉鎖術開始後の 2 年間での手術症例26例のうち欠損部位がカテーテル治療に不適例が10例であった.心房粗細動は14例(平均年齢63 ± 8 歳,男:女 = 8:6)に認められた.閉鎖術後の観察期間は 1 カ月~7 年であった.心房粗動 2 例に対して,手術中cryoablation 1 例,カテーテルablation後Amplatzer閉鎖栓 1 例で治療し,現在洞調律である.発作性心房細動は 2 例で手術時にMaze手術を施行し洞調律である.慢性心房細動10例で,3 例に閉鎖時にMaze手術を施行して 1 例は洞調律,1 例は心房細動のままで,1 例は洞不全でPM植込を行った.カテーテル閉鎖術を施行した 3 例を含む残りの 7 例は心房細動のままである.【結論】過去 2 年間はカテーテル治療が第一選択となった.房室弁逆流合併例では手術が第一選択であることは変わりない.不整脈合併例の治療選択は,不整脈の種類,罹病期間,年齢などを考慮して決定すべきである.

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