II-P-66
フォンタン術後のカテーテルインターベンションの臨床像
静岡県立こども病院循環器科
早田 航,佐藤慶介,北村則子,中田雅之,増本健一,満下紀恵,金 成海,大崎真樹,新居正基,田中靖彦,小野安生

【背景】Fontan型手術(F術)は単心室治療の最終目標であるが,術後も遺残病変をもつことがまれではない.【目的】F術後にカテーテル治療(CI)を施行した症例の臨床像を検討する.【対象】2000~2008年の 9 年間に当科でのF術後定期的心カテ283件のうちCI38件(13.4%).【結果】内訳は体肺側副血管(apca)に対するコイル塞栓術(CE)が20件,体静脈肺静脈短絡血管(VVshunt)に対するCEが 9 件,ステント留置術(SI)が 5 件(後に再拡張 4 件)であった.CE-apca施行例は重複症例が多く,11名に20件を施行.11名中 5 名が術後 1 カ月以内でのCEで,原因は中心静脈圧(CVP)高値 2 例,胸水遷延 3 例であった.他の 6 名中,1 名に 5 回,2 名に各 3 回CEを施行した.この群の臨床症状は 9 件が喀血,CVPはCE前平均15.3mmHgでCE後平均値12.0mmHgとなり(p = 0.054),喀血の改善をみた.CE-VVshunt施行は 9 例で,全例で閉鎖試験による確認を行い,CE前の酸素飽和度は平均値86.0%でCE後に平均91.4%となった(p = 0.089).またCVPはCE前平均12.7mmHgで,CE後に平均13.7mmHg(p = 0.072)であった.左無名静脈―心房,上大静脈―心房,下大静脈―心房が各 3 例であった.下大静脈へのCEは横隔膜の動きのため技術的に難しく 1 例で肝静脈を誤って塞栓し回収を要した.SIを施行した 5 例で大動脈再縮窄 1 例,左無名静脈 2 例,左肺動脈 2 例のSIを施行した.内膜増生による再狭窄は認められず 5 例中 4 例に体格の成長に伴う再拡張術を施行した.CVPは平均15.3mmHgから11mmHgに低下(p < 0.05)した.【結語】F術後はCE-VVshuntにおいては特別な配慮(fenestrationとしての機能か,チアノーゼ改善か?)を要するが,その他のCIは安全かつ効果的で積極的に施行すべきである.

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