II-P-69
当科における小児に対する持続的血液濾過透析(CHDF)の検討
群馬県立小児医療センター心臓血管外科1),循環器科2),群馬大学医学部小児科3)
宮本隆司1),藤崎正之1),池田健太郎2),石井陽一郎2),小林富男2),小林 徹3)

【目的】持続的血液濾過透析(CHDF)は術後の急性腎不全(ARF)に対する治療法として必要不可欠となっている.今回,当科における小児CHDF施行例について検討を加えたので報告する.【対象と方法】2005年10月~2008年12月に施行した15歳以下の症例について,膜型人工肺(V-A ECMO)装着下の 5 例を含む計11例で,retrospectiveに検討した.検討項目は,患者因子(年齢・体重・術式・basic aristotle score(BAS)など),CHDF因子(導入までの期間・実施条件・実施期間・blood accessの種類・除水や溶質除去の効率など)である.【結果】平均年齢は2.4 ± 2.6歳,平均体重は平均7.4 ± 6.3kg,疾患は体肺動脈短絡手術後 3 例,僧帽弁置換術後 2 例,大血管転位症根治術後(大動脈縮窄症合併例) 1 例,ファロー四徴症根治術後 1 例,フォンタン術後 1 例,右室流出路形成術後 1 例, 右肺動脈上行大動起始症術後 1 例,冠動脈破裂後修復術 1 例で,平均BASは7.9 ± 1.4,生存率は77.8%.導入までの期間は平均1.7 ± 1.0日,実施期間は平均10.3 ± 7.0日.Blood accessはV-V方式(内頸静脈 5 例,大腿静脈 2 例)を採用しECMO装着症例では脱血側回路内にV-V方式で設置.輸血を用いて回路のprimingを行った後,血流量10~20ml/minで実施しポリメチルメタクリレート膜を使用しメシル酸ナファモスタットを投与した.CHDF施行前後のBUN値は40.3 ± 25.3から9.9 ± 7.3mg/dlに,Cr値は0.9 ± 0.4から0.3 ± 0.1mg/dlに,K値は5.0 ± 1.5から3.8 ± 0.4mEq/lまで低下した.また,ECMO装着例と未装着例を比較すると,年齢,導入までの期間,導入前の血小板値とアルブミン値で 2 群に有意差を認めた.【考察】小児CHDF施行時の問題点として,年齢,体重,blood accessの確保,循環動態に与える影響などが列挙されるが,ECMO症例を含め循環動態が不安定な症例に対しても術後早期に導入することが可能であり,小児CHDFは循環動態の安定化や救命率の向上などに大きく貢献すると思われた.

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