II-P-113
学校心臓検診—心電図判定と事後措置の地域基準作成を目指して—
大阪学校心臓検診勉強会1),松下こどもクリニック2),小川クリニック3)
松下 享1,2),小川 實1,3)

学校心臓検診の心電図判定および事後措置は,共通認識はあるものの診断医に委ねられる要素が強い.これらの基準化を目指して,診断医の現状を把握することを目的にアンケート調査を実施した.【対象と方法】大阪府に在籍する日本小児循環器学会暫定指導医30名と実際に学校心臓検診に携わっている小児循環器科医 3 名の計33名を対象とした.一次および二次検診でのQRS電気軸異常(QRS),WPW症候群(WPW),完全右脚ブロック(CRB),不完全右脚ブロック(IRB),心室内伝道障害(VD),上室期外収縮(PAC),心室期外収縮(PVC),房室解離(AVD),QT延長(QT),心室肥大(VH)について,日本小児循環器学会作成の「学校心臓検診二次検診対象者抽出のガイドライン」のA~C区分および「点数制による小児心電図肥大判定基準」の各心電図所見に対する判断や事後措置等について質問した.また川崎病既往児(MCLS)に関しては管理不要とできる基準についても意見を聞いた.【結果】33名中21名からの返答を得た.80%以上の人が要追加検診と判定した項目は,WPW, CRB, IRB(A群), VD, PAC, PVC, AVD, QT, VH(5 点)であったが,QRS, IRB(B群), PAC(B群), VH(3~5 点)では要追加検診から管理不要まで意見が分かれた.また心電図以外の諸検査で異常がない場合でも,ほとんどの医師がWPW, VD, PVC, AVD, QTは引き続きフォローが必要と考え,IRBはフォロー不要と判断していた.一方QRS, CRB, PAC, VHではフォローの必要性の有無で意見が分かれた.MCLSは急性期の状態や主治医からの診断書が提示されればフォロー中止を望む意見が多かった.【まとめ】学校心臓検診を行っている医師の判定は一致するところも多いが意見の分かれるところもあり,さらなる判定基準の作成が望まれる.

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