II-P-118
当院における心疾患合併妊娠の検討
札幌医科大学小児科1),北海道立子ども総合医療・療育センター小児科2)
長谷山圭司1),堀田智仙1),高室基樹2)

【背景】治療成績,管理の向上により心疾患を合併した女性の妊娠,出産の機会が増えてきている.また,周産期医療の整備により,これらハイリスク症例の管理が可能となってきた.【目的】当院における心疾患合併妊娠の検討を行うこと.【方法・対象】1999年 1 月~2008年12月の過去10年間に当院にて心疾患を合併し,分娩を行った25例(27妊娠).【結果】基礎心疾患:心室中隔欠損 7 例,心房中隔欠損 6 例,僧帽弁閉鎖不全 4 例,房室中隔欠損 3 例,ファロー四徴 2 例,Ebstein奇形 2 例,異所性心房頻拍 1 例.分娩時年齢18~37歳(中央値30歳).分娩時NYHA I 21名,II 5 名,III 1 名.分娩時未修復 9 例,術後16例(遺残病変あり 8 例,妊娠期間中に治療あり 4 例,そのうち 1 例が弁置換後のワーファリン内服).分娩週数16週 + 0 日~41週 + 0 日(中央値38週 + 0 日).分娩形式:経膣分娩13例(うち和痛分娩 8 例),帝王切開13例,人工妊娠中絶(妊娠16週) 1 例(Ebstein奇形:未修復・未治療,SpO2 88%,NYHA III).産科的リスク(双胎,妊娠中毒症,妊娠糖尿病,GBS保菌,飛び込み分娩) 8 例.その他の合併症 1 例(境界型人格障害).出生児体重2,092g~3,390g(低出生体重児 6 例,中央値2,804g).新生児疾患 6 例(新生児一過性多呼吸,新生児呼吸窮迫症候群,初期嘔吐,低血糖),1 例が心房中隔欠損(母体も心房中隔欠損).【考察・結論】NYHA II以上のリスクの高い症例であっても計画的妊娠例はなく,結婚適齢期までに十分な指導が必要である.また,リスクが低いとされるNYHA Iの症例においても,妊娠中にうっ血性心不全となりとNYHA IIへ増悪し治療を要した症例があり,心疾患合併妊娠に対しては専門職がチームを形成して対応する必要がある.

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