II-P-120
未熟児動脈管開存症の発症因子は何か?—未熟児動脈管開存症診療ガイドラインから(第 4 報)—
未熟児動脈管開存症診療ガイドライン作成プロジェクトチーム
赤澤陽平,豊島勝昭,増本健一,増谷 聡,南 宏尚,山川 勝,与田仁志,横山岳彦

【目的】未熟児動脈管開存症(pPDA)の発症因子について質の高い臨床研究に基づく科学的根拠を明らかにする.【方法】66名のpPDAガイドライン作成チームにより,世界初のpPDAの〈根拠に基づく診療ガイドライン(clinical practice guideline:CPG)〉を作成した.2,322論文から質の高い臨床研究114論文をEBM手法により根拠をまとめ,推奨を導き出した.研究のデザインと質から,根拠の強さに応じてA,B,Cの三つの推奨グレードを割り当てた.pPDAの発症因子に関する推奨をグレードとともに報告する.【pPDAの発症に関する推奨】〈低出生体重児の診療において,水分過剰投与はpPDAの発症率を増加させるため,避けるべきである(B)〉〈pPDAの発症率の観点からは新生児呼吸窮迫症候群(RDS)を発症した児へのフロセミドの一律投与は奨められない(C)〉【pPDAの発症予防に関与する推奨】〈RDSに対するサーファクタント投与はpPDA発症を減少させる.pPDA予防の観点からも,RDSに対するサーファクタント投与は奨められる(A)〉〈在胎34週以前の早産が予測される場合,生後のpPDAの発症予防の観点からも出生前ステロイド母体投与が奨められる(C)〉【pPDAの発症への影響に関しては科学的根拠が十分でない因子に関する推奨】〈慢性肺疾患予防の生後ステロイド全身投与は,pPDAへの影響に関する科学的根拠が弱い一方,消化管穿孔や長期神経学的予後への懸念がある.使用に関しては慎重な検討が奨められる(B)〉〈予防的サーファクタント投与,一酸化窒素吸入療法,ドパミンといった治療は単独でpPDAの危険因子という強い科学的根拠はない.各治療が必要と判断された場合,おのおのの疾患の病態に合わせて施行することが奨められる(C)〉【結論】pPDAの発症に関与する介入可能な因子に関して,質の高い臨床研究に基づいて強い科学的根拠を確認されている因子は少なかった.J-Prep-CPGを今後のpPDAの病態解明・治療法開発の基礎・臨床研究の立案のための活用を願う.

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