II-P-124
成人期に肺高血圧(PH)の改善を認めhigh flowとなったDown症候群,動脈管開存(PDA)の 1 例
天理よろづ相談所病院小児循環器科
吉村真一郎,松村正彦

31歳女性,生後よりダウン症候群としてfollowされ,4 カ月時に心雑音指摘され当院紹介.心カテでPDA,卵円孔開存,mild PH(mean PAP 35mmHg)の診断で,Qp/Qs 2.5のため手術を勧められたが両親が拒否.体重増加不良や易感染性などなく,6 歳時の心カテではPHの進行を認め(mean PAP 57mmHg),酸素投与でPHの改善(mean PAP 18mmHg)を認めるため再度手術を勧められるも拒否されていた.その後もチアノーゼの出現などもなく,作業所に勤務していたが,この 5 年ほどで易疲労感の増大と心拡大の進行を認め精査目的の入院.睡眠時の無呼吸などは明らかなものは認めないとのことであった.心カテでPH認めず(mean PAP 11mmHg),Qp/Qs 2.9でhigh flow PDAによる慢性心不全と診断.閉鎖術の適応と判断した.今回は両親も本人も治療に積極的である.Down症候群の場合,小児期の扁桃腫大などの閉塞機転の解除によるPHの改善の報告はあるが特にそのような既往もなく,一時期には進行を認めたPHが自然改善し,high flowをこの数年で呈し始めているという,肺動脈のreverse remodelingを示唆する症例であり,報告する.

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