II-P-125
EisenmengerにおけるボセンタンのSpO2および 6 分間歩行テストに対する中期効果
東京女子医科大学循環器小児科1),東邦大学医療センター大森病院小児科2)
嶋田博光1),竹内大二1),篠原徳子1),山村英司1),富松宏文1),森 善樹1),高月晋一2),中山智孝2),松裏裕行2),佐地 勉2),中西敏雄1)

【背景】本邦でボセンタン投与が承認されてから,3 年以上経過した.Eisenmenger症候群(ES)に対してボセンタンが有効であるとの報告があるが,本邦では十分に検討されていない.【目的】肺血管拡張薬であるボセンタンのESに対する中期効果について検討すること.【対象および方法】東京女子医大および東邦大学にて 1 年以上ボセンタンの投与を行ったESの15例.開始時の年齢は34.2 ± 11.9歳.男:女 = 5:10.臨床症状,SpO2,6 分間歩行テスト,BNPについて後方視的に検討した.【結果】基礎疾患はVSD 7 例,ASD 2 例,AVSD 2 例(1 例はMR合併),AP window 2 例(1 例はIAA合併),CoA complex 1 例,TAC 1 例であった.フォローアップ期間は16~40カ月(中央値:33カ月).NYHAはclass II:11例,class III:4 例であった.開始前の治療はベラプロスト 7 例,シルデナフィル 1 例,在宅酸素を併用したのは11例であった.ボセンタンの投与量は平均149 ± 81mg.13例(87%)で治療を継続できている.治療後のNYHAはclass II:11例,class III:4 例で,投与前後で変化がなかった.SpO2は 1 年以上の経過をフォローできた12例で平均84.5 ± 10.6%から88.3 ± 9.0%に上昇した.6 分間歩行テストは 1 年以上の経過をフォローできた 8 例で平均339 ± 99mから376 ± 122mと歩行距離の増加を認めた.BNPは変化を認めなかった.2 例(喀血,血小板減少)で投与を中止した.【結論】ボセンタンはESにおいてSpO2と 6 分間歩行距離を増加させ,中期効果が良好な症例がある.

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