II-P-136
慢性肺疾患に合併した肺高血圧症に対するsildenafilの急性効果
大阪医科大学附属病院小児科
岸 勘太,奥村謙一,森 保彦

【背景】慢性肺疾患(CLD)に合併した肺高血圧症(PAH)に対する治療方針は確立したものがない.われわれは,小児の術後PAHに対するsildenafilの効果を確認している.今回,CLDに合併したPAHにおいて,sildenafil負荷試験を施行し,その急性効果を検討した.【症例】症例 1:11カ月29週,648g, ASD合併,酸素投与・利尿薬内服,症例 2:4 歳25週,820g,small VSD合併,利尿薬内服.【方法】全身麻酔下で心臓カテーテル検査を施行した.Room air(症例 1 はFiO2:0.3)・100%酸素吸入10分後・sildenafil(2mg/kg)投与後30分・60分・90分で,それぞれ,圧測定・酸素飽和度の測定を行った.【結果】症例 1:酸素負荷,収縮期肺動脈圧(sPAP)/収縮期体血圧(sSBP):104/88mmHg = 1.2→88/95mmHg = 0.92,変化率:23.3%,Rp/Rs:13.1/12.6 = 1.0→10.9/15.9 = 0.7,変化率:30.0%.sildenafil負荷,sPAp/sSBP:98/89mmHg = 1.1→72/90mmHg = 0.8,変化率:27.2%,Rp/Rs:14.2/12.4 = 1.1→8.7/14.6 = 0.6,変化率:45.5%.症例 2:酸素負荷,sPAP/sSBP:62/99mmHg = 0.63→45/99mmHg = 0.45,変化率:28.6%,Rp/Rs:6.3/16.5 = 0.38→2.5/12.1 = 0.2,変化率:47.4%.sildenafil負荷 sPAP/sSBP:61/103mmHg = 0.59→38/98mmHg = 0.39,変化率:33.9%,Rp/Rs:6.0/17.7 = 0.33→1.8/15.9 = 0.11,変化率:66.7%.【考察】CLDに合併したPAHにおいてsildenafilの急性効果を認めた.その作用は,100%酸素より強く,sildenafilが有効な治療薬である可能性がある.

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