II-P-141
周産期のラット肺組織におけるadrenomedullinとcalcitonin receptor-like receptorの発現
旭川医科大学小児科
梶野浩樹,真鍋博美,杉本昌也,太田 圭,梶濱あや,藤枝憲二

【背景】Adrenomedullin(AM)は強力な血管拡張性ペプチドであり,receptor-activity-modifying protein(RAMP)に修飾されるcalcitonin receptor-like receptor(CL)と結合しその作用を示す.これらは肺組織に存在し肺循環に作用することが知られており,AMは肺高血圧治療薬としての可能性も探られている.出生直後,肺血管抵抗は劇的に低下し,肺血流が著増する.その後も肺血管抵抗は低下し続ける.しかしそれらの変化や新生児期の病的肺高血圧におけるAMの役割は不明である.【目的】周産期の肺組織におけるAM,CL,RAMP2,RAMP3の発現様式を明らかにする.【方法】Sprague-Dawleyラットの在胎日数18,20の胎仔と日齢 0,1,4,7 の新生仔において肺組織中のAM,CL,RAMP2,RAMP3のmRNA発現量をGAPDHと比較したRT-PCRの閾値サイクル数から相対定量した.【結果】在胎日数18,20日,日齢 0,1,4,7 における相対定量値(平均 ± SD,各n = 6)は,AM:1.5 ± 1.6,67.2 ± 41.6,21.4 ± 7.7,23.4 ± 8.7,11.0 ± 2.0,7.4 ± 4.9,CL:1.3 ± 1.0,6.0 ± 3.8,14.8 ± 14.8,3.3 ± 1.7,9.5 ± 2.9,90.6 ± 37.2,RAMP2:1.4 ± 1.1,3.7 ± 2.6,13.3 ± 6.6,16.0 ± 8.7,9.7 ± 3.2,15.2 ± 9.6,RAMP3:1.5 ± 1.3,1.4 ± 0.7,1.6 ± 1.4,1.6 ± 1.1,1.2 ± 0.7,1.9 ± 1.3,であった.つまり,AMは出生前後で著明に増加,CLは生後徐々に増加し 1 週後にさらに増加,RAMP2は生後増加,RAMP3は不変であった.【結論】出生後の肺血管抵抗の低下や肺血流の増加には,AMの出生前後での増加とCLとRAMP2の出生後の増加が関与している可能性がある.

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