II-P-142
免疫グロブリン大量療法不応のGunmaスコアとhigh mobility group box 1 値を用いた予測の有用性
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科小児発達機能病態学1),鹿児島市医師会病院小児科2)
野村裕一1),上野健太郎1),益田君教2),森田康子2),櫨木大祐1),江口太助1),河野嘉文1)

川崎病(KD)の治療としては免疫グロブリン超大量療法(IVGG)が有効であるが,一部に治療抵抗例(non-responder;nonR)があり冠動脈異常(CAA)を高率に来す.そこで,CAAを減らすためにnonRを予測し重点的な治療を行う試みが検討されている.nonR予測スコアとしてKobayashiらは臨床データを基にしたスコア(Gunmaスコア)(鋭敏度86%,特異度68%)を報告しているが,その精度については他施設による検証も必要である.また,high mobility group box 1(HMGB1)は非ヒストン核蛋白の主要成分であり,炎症・細胞傷害の悪循環における重要な蛋白である.私たちは川崎病患児におけるHMGB1値を検討し,HMGB1高値がnonRを予測できる可能性を報告した.今回Gunmaスコアを当施設でも検討し,さらにHMGB1を指標に加えることでnonR予測精度の向上が可能かどうか検討した.【対象および方法】鹿児島市医師会病院へ2000~2007年に入院しIVIG治療を行ったKD確実例で治療前の血清HMGB1測定を行った101例を対象とし,IVGG反応群(R群)とnonR群に分けて検討した.HMGB1はELISA法で測定した.【結果】nonR群が16例,IVIG反応例(R群)が85例だった.nonRは白血球数,好中球%,CRPが有意に高値で,血小板数,Alb,Naが有意に低値だった.nonR群のGunmaスコアは有意に高値で(nonR, 5.1 ± 2.9;R, 2.7 ± 2.1, p = 0.0002),スコア 4 点以上を予測nonRとすると鋭敏度63%,特異度68%だった.nonR群のHMGB1(ng/ml)は有意に高値で(NR, 14.8 ± 11.3;R, 9.7 ± 5.5, p = 0.0064),15.2 ng/ml(R群のmean + SD)をカットオフ値とすると,鋭敏度50%,特異度87%だった.Gunmaスコア 5 点以上とHMGB1高値を予測nonRとすると鋭敏度81%,特異度71%だった.【結語】GunmaスコアにHMGB1高値を加えることでnonR予測の精度向上が期待される.

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