II-P-148
川崎病(KD)の冠動脈病変(CAL)検出におけるマルチスライスCT(MSCT)の有用性
関西医科大学小児科1),中野こども病院2)
立岩 愛1),吉村 健1),峰 研治1),寺口正之2),金子一成1)

【目的】成人におけるCALの診断において,MSCTは冠動脈造影(CAG)に取って代わる検査となりつつあるが,小児での報告は少ない.今回,KDのCALに対し64列MSCTを行いCAGと比較し,その有用性について検討した.【対象】KD急性期に中等度以上の瘤を合併しCAGを施行した症例のうち,MSCTを施行した10症例を対象とした.KD発症時の平均年齢は3.7歳,MSCT施行時の平均年齢は13.3歳,CAG施行からMSCT施行までの平均期間は2.1年,CAGにてCALはのべ59病変(拡大;36,狭窄;8,閉塞;2,石灰化;13)であった.【方法】CT装置はAquilion64(東芝)を用い,心電図同期のもと撮影した.画像再構築にはZIOSTATIONを使用し,3D画像,curved planar reformation(CPR)画像および短軸像を作成した.画像作成者とは異なる 2 名で,冠動脈の拡大,狭窄,閉塞,石灰化の有無をセグメントごとに判定した.狭窄は局所性狭窄(LS)とセグメント狭窄(SS)に分けて評価した.CAGをgold standardとしたときのMSCTの感度と特異度を算出した.【結果】MSCTのCAL検出における感度と特異度は,それぞれ,拡大:89%・98%,LS:100%・96%,石灰化:100%・95%であった.閉塞とSSはいずれもMSCTで検出できた.CAGでLSなし,MSCTでLSありと評価した 6 病変のうち 4 病変が石灰化を伴っていた.【考察】瘤形態に関してはMSCTとCAGは同等の画像が得られ,拡大病変の評価では有用と考えた.狭窄はCPR画像のlumen viewでよく観察できた.石灰化の検出にはCAGより感度が高く有用であった.しかし,石灰化を伴う狭窄病変では過大評価する可能性があった.【結語】小児においてもMSCTはCAGに取って代わる画像検査になり得る.

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