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北陸地区の川崎病急性期治療の現状
北陸川崎病研究会1),金沢医科大学小児科2),金沢大学医学部小児科3),富山大学医学部小児科4),福井大学医学部小児科5)
中村常之1,2),秋田千里1,2),太田邦雄1,3),廣野恵一1,4),田村知史1,5),西尾夏人1),畑崎喜芳1),上勢敬一郎1),西田公一1),石原靖紀1),酒詰 忍1)

【背景】近年,現行ガイドラインにない川崎病急性期治療として抗TNFα製剤や新たな好中球エラスターゼ阻害剤を使用した経験報告がなされ,さらに2007年免疫グロブリン・プレドニゾロン初期併用療法のRAISE studyが始まった.【目的】北陸川崎病研究会の開催(2009年 1 月)にあたり北陸の各施設における川崎病急性期治療のアンケートを行い,北陸地区の川崎病急性期治療の現状の把握と,さらにRAISE study参加について併せて検討した.【方法】北陸地区で川崎病の入院治療を施行している23病院にアンケート用紙を送付し,川崎病急性期治療における25項目の質問を行った(年間川崎病患児数,急性期の心臓超音波検査,免疫グロブリン製剤の投与方法,免疫グロブリン不応例の対応,RAISE study等).【結果】北陸地区における川崎病患者数は,各病院間でばらつきはあるものの,約80%(18/23病院)は年間20例以下であった.小児循環器専門医が常勤医でいる病院は約65%(15/23病院)であり,心臓超音波検査を(解熱するまで)連日施行する病院は 1 病院のみであった.免疫グロブリン製剤の投与の基準を設けていない病院は約65%(15/23病院)であり,川崎病と診断した時点で免疫グロブリン製剤の投与を行う病院は約52%(12/23病院)であった.免疫グロブリン不応例の際のステロイド療法の導入経験のない病院は約48%(11/23病院)であった.RAISE studyへ積極的に登録する可能性がある,あるいは既登録している病院は今回約13%(3/23病院)であった.【考察および結論】北陸地区における川崎病急性期治療は概ね現行ガイドラインに則して行われている.また半数の病院で免疫グロブリン不応例の際のステロイド療法の導入経験はなかった.ステロイドによる冠動脈障害や副反応を理解したうえでRAISE studyへの参加を検討すべきである.

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