II-P-150
大量免疫グロブリン療法不応川崎病に対してインフリキシマブを使用した11例の検討
信州大学医学部小児医学
清水 隆,伊藤有香子,赤澤陽平,元木倫子,小池健一

【目的】川崎病治療において免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応症例は冠動脈病変(CAL)のリスクが高く,それに対する治療法は確立されていない.最近それらIVIG不応症例に対するインフリキシマブの有効性が報告されつつある.当施設においてIVIG不応症例,11例に対しインフリキシマブを使用したので,その有効性について検討する.【対象】2007年 3 月~2009年 1 月に信州大学附属病院小児科に入院し,2 回(3g/kg)以上のIVIG不応症例でインフリキシマブ使用に同意を得た11例(10人).年齢は11カ月~6 歳 8 カ月.男女比は,7:4 .インフリキシマブ以前の治療はIVIG計 4g/kgが 7 例,IVIG計 3g/kgが 2 例,IVIG計 4g + ステロイドパルス療法が 2 例であった.【方法】最終の治療開始から48時間以後,37.5°C以上の発熱の持続をIVIG不応症例として,インフリキシマブ 5mg/kgを 2 時間かけて点滴静注した.胸部CT,ツベルクリン反応,クオンティフェロンから結核感染を否定したうえで使用した.インフリキシマブ療法前後の発熱,炎症反応,CAL発生頻度などにつき検討した.【結果】インフリキシマブ投与後,全例で解熱を得た.CRPも有意に低下した.2 例でインフリキシマブ投与後も発熱が認められ,川崎病の再燃と考えられた.1 例は投与後 8 日,もう 1 例は投与後 4 日で再燃したがいずれも再度のIVIGで軽快した.CALが認められた例は 3 例.1 例はインフリキシマブ投与前から巨大瘤を認め,インフリキシマブ投与後,冠動脈の拡大が停止した.他の 2 例は一過性の冠動脈拡大であった.投与時の急性反応,感染症などの副作用は認められなかった.【結語】IVIG不応症例に対してインフリキシマブ投与はその炎症の沈静化に対し有効であった.また副作用も認められなかった.CAL発生の頻度を抑制しているかについてはさらなる検討が必要である.

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