II-P-151
山形県における免疫グロブリン不応の川崎病に対する治療
山形大学医学部小児医科学
鈴木 浩,仁木敬夫,小田切徹州

【はじめに】川崎病免疫グロブリン(IVIG)不応例に対する治療は確立されておらず,一定していない.山形県におけるIVIG不応の川崎病に対する治療の実態調査を行ったので,報告する.【対象・方法】2005~2007年の 3 年間に山形県内で発症した川崎病について,山形県内の小児科の入院施設を有する14の病院にアンケートを行った.年齢,初診時病日,確実例か不全型か,IVIGの投与の有無,初回投与開始病日,投与量,追加治療がある場合はその内訳,心障害の有無・急性期(1 カ月まで)と後遺症(1 カ月以降)などの記載を依頼した.【結果】11病院で川崎病を経験しており,患者数は323例であった.IVIGの投与を受けたのは268例(83%)で,何らかの追加治療を受けた例は50例(19%)であった.Second therapyとして37例はIVIGを追加(8 例でウリナスタチンの併用)されステロイドは使用されず,10例はsecond therapyでIVIGを追加され,third therapy以降でステロイド療法(6 例がパルス療法,3 例がプレドニゾロン,1 例がデキサメサゾン)が行われ,3 例はsecond therapyでステロイド療法(2 例がパルス療法,1 例がプレドニゾロン)が行われていた.心障害後遺症は,IVIG追加のみ(一部ウリナスタチンの併用)でみられず,IVIG追加と同時,あるいはその後にステロイド療法を行った例で巨大瘤,瘤と拡大が各 1 例みられた.Second therapyでステロイド療法がされた例ではみられなかった.【結論】山形県においてIVIG不応の川崎病に対する治療は施設によって大きく異なっていた.不応例の約1/4にステロイド療法が行われていたが,冠動脈後遺症の発生を抑えられていなかった.今後,冠動脈後遺症を発生させない治療の確立とともに急性期治療ガイドラインの改訂が望まれる.

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