II-P-152
64列MDCTは年少例の川崎病冠動脈病変の評価に有用である
金沢大学医薬保健研究域小児科1),放射線科2)
斉藤剛克1),橋田暢子1),太田邦雄1),谷内江昭宏1),川井恵一2)

【背景】近年成人領域では冠動脈病変に対する64列MDCTの有用性が指摘されている.小児科領域においてもここ数年の間に年長例を中心に川崎病冠動脈病変の評価における64列MDCTの有用性が報告されるようになってきた.しかし,いまだ年少例での評価については報告が少ない.【目的】川崎病冠動脈病変の評価における64列MDCTの有用性について年少例で検討すること.【対象】2008年 7~12月に64列MDCTを施行した 2~4 歳(平均 3 歳 0 カ月)の川崎病冠動脈瘤合併症例 4 例.同時期に施行した成人例 5 例(19歳~32歳,平均25歳)との比較も行った.【方法】使用機種はGE Light Speed VCT.鎮静はthiopental sodium 3~5mg/kgを撮影のタイミングに合わせて静注し補助呼吸を短時間中止することで10秒弱の呼吸停止(ないし浅呼吸)を得た.造影剤注入は 2ml/kgを目安に,成人よりも注入時間を長くし,かつ撮影開始を遅らせる,撮影範囲を広めにとる等の方策をとった.撮影後各血管の病変(年少例17病変,成人例13病変)について血管径,形態を中心に評価を行った.結果については同時期に施行した冠動脈造影,および心エコーと比較を行った.【結果】成人例ではすべての病変で瘤の同定,狭窄性病変の同定が可能であった.動脈瘤のサイズは従来の報告通り冠動脈造影と良い相関を示した(r = 0.920).年少例17病変(心拍数平均108)では一部末梢の描出が困難な症例があり動脈瘤の検出率は83%であった.動脈瘤のサイズ(2.4~12.0mm)は成人と同様,冠動脈造影と良い相関を示した(r = 0.965).17病変のうち狭窄性病変が 1 例(#5)あったが,CTでも冠動脈造影同様に検出可能であった.【結語】年少例においても適切に呼吸抑制を行うことで冠動脈病変の評価を行うことが可能と考えられる.

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