II-P-156
追加IVIGとステロイドパルス療法後さらに追加治療を必要とした川崎病症例の検討
松山赤十字病院小児科
馬場健児

【背景】IVIG不応の川崎病に対するステロイドパルス療法(パルス療法)にも不応でさらに追加治療が必要となる重症例も存在する.【目的】追加IVIGとパルス療法後の次の追加治療に対する検討および追加療法を必要としなかった症例との比較検討を行い今後の治療に生かすこと.【対象と方法】2005年 4 月~2008年 9 月の間に当院で川崎病急性期治療を行った165人中追加IVIG不応のためパルス療法を施行した19人のうちさらに追加治療を必要とした 8 人を対象に診療録を用いて後方視的に検討した.追加IVIGとパルス療法後さらに追加治療を必要とした群(A群)とパルス療法後寛解した群(B群)とをIVIG不応例の予測スコアとされる群馬スコアと久留米スコアおよび冠動脈病変発生率に関して比較検討した.パルス療法前は19例中全例IVIG総投与量 3g/kg以上かつウリナスタチン療法も併用していた.パルス療法後のステロイド内服の後療法はルーチンでは行っていない.【結果】追加治療の内訳は以下の通り.8 例中初期の 2 例はまずシクロスポリン療法(CyA療法)を選択し,1 例は寛解,1 例はさらにIVIG再追加.後期の 6 例はまずIVIG再追加を選択,4 例は寛解,1 例はその後プレドニン静注後内服,1 例はCyA療法後さらにIVIG再々追加を行った.群馬スコアに関して 7 点以上はA群 6/8(75%), B群 6/11(55%), 5 点未満はA群 1/8(13%), B群 1/11(9%), 久留米スコアでは 3 点未満はA群 0/8(0%), B群 2/11(18%)であり,冠動脈病変発生率はA群 2/8(25%), B群 0/11(0%)であった.【結論】ステロイドパルス療法後の追加治療としてIVIG再追加およびCyA療法は有効であった.ステロイドパルス療法後の追加治療の有無でIVIG不応予測スコアに有意な差はでず,臨床経過の詳細な観察が重要と思われた.

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