II-P-159
Subclavian flap augmentationを併用した新生児左開胸拡大大動脈弓再建術式の評価
筑波大学大学院人間総合科学研究科循環器外科1),茨城県立こども病院心臓血管外科2),筑波大学大学院人間総合科学研究科小児科3)
平松祐司1),金本真也1),野間美緒2),阿部正一2),徳永千穂1),榊原 謙1),高橋実穂3),堀米仁志3)

【目的】大動脈縮窄症や離断症を含む,transverse archの低形成病変を有する新生児の大動脈弓形成異常に対しては種々の再建術式が用いられてきたが,吻合部再狭窄の懸念は払拭されていない.われわれは,拡大大動脈弓形成(EAAA)にsubclavian flapを加える複合術式により形態的な不安を解消し得るのではないかと考え,modified EAAAとして実施してきた.本術式の有用性を検証する.【対象】2008年までにsubclavian flapを併用してmodified EAAAを行ったarch hypoplasia 3 例(IAA type A 1, DORV型SV 1, CoA 1:日齢 4~24,2.8~3.2 kg).いずれも段階的修復の第一期手術として左開胸による大動脈弓再建とPABを選択した.右上肢圧30mmHg以上を確保しつつBCAとLCCAの間でproximal archを遮断し,下行大動脈をarch小彎側切開線に吻合,下行大動脈の大彎側をcut backしてsubclavian flapをあて大動脈弓再建を完了した.【成績】3 例とも順調に経過し,その後 2~6 カ月でIAAとCoAは根治術に,DORVは第二期DKSに到達した.全例,術後造影にて狭窄形態を認めず,最遠隔期の超音波による再建部位の圧較差は10.9mmHg以下であった(再建後観察期間11~45カ月).【考察】Subclavian flap augmentationを併用したmodified EAAAは,広範な剥離と慎重な遮断や吻合を要するものの,IAA type Aを含むtransverse archの低形成病変を有する新生児の大動脈弓形成異常において,吻合部再狭窄の懸念が少ない形態修復が可能であった.長い 1 本のZ型縫合線により十分な拡大がなされ,吻合部張力が分散されることによって成長に伴う再狭窄の防止効果が得られるものと思われた.【結論】Subclavian flapを併用した拡大大動脈弓再建術は,transverse archの低形成病変を有する新生児の大動脈弓形成異常に広く応用し得る術式であると考えられた.

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