II-P-164
カテーテル治療後に外科治療を要した肺動脈狭窄症例の検討
兵庫県立こども病院心臓血管外科1),循環器科2),明石医療センター心臓血管外科3)
島津親志1),大嶋義博1),圓尾文子1),日隈智憲1),井上 武1),城戸佐知子2),田中敏克2),藤田秀樹2),齋木宏文2),山口眞弘3)

【背景】近年,肺動脈狭窄に対するカテーテル治療の技術は著しく向上し,再手術による修復を回避できるようになってきている.しかしながら,カテーテルによる治療が無効または,効果が低く,外科的介入が必要となる症例も少なからず存在する.【目的】どのような症例が外科的な肺動脈狭窄解除を要したのかを解析する.【方法】1993~2008年当施設においてカテーテル治療後に外科的介入を要した24例を後方視的に検討した.【結果】原疾患はPA-VSD 8,TOF 5,TGA(I) 4,Taussig-Bing 2,PA-IVS・TCA・TGA(III)・DORV・cTGA 各 1 例.先行手術はRastelli型手術10,動脈スイッチ 6,RVOTR(弁付きパッチ) 4,RVOTR 3,Double switch 1 例.狭窄部位は左肺動脈 11,両側肺動脈 9,RVOT 9,心外導管 2,右肺動脈 1 例.カテーテル治療の内容は左肺動脈狭窄へのBAPが 3,RVOTへ 5,両側肺動脈へ 3,両側ステントが 1 例.BAPが繰り返し行われていた症例は 4 例,うち 1 例はステント留置が行われていた.先行手術から外科的介入へ移行したカテーテル治療までの経過期間は 1~170カ月,中央値70カ月であった.外科治療までに複数回カテーテル治療を受けた例は 6 例.外科的狭窄解除選択の理由は形態的問題 13,カテーテルが到達不能 3,患児の身体的発育による心外導管の相対的狭小化 2,石灰化・硬化 2,肺動脈弁逆流の存在 2,ステント脱落 1,肺動脈―左房瘻 1.再手術の内訳は肺動脈パッチ形成13,弁付きパッチ交換 7,弁付き導管交換 2,PVR 6,肺動脈人工血管置換術 2 例であった.うち,カテーテル治療により生じたステント脱落・肺動脈―左房瘻に対する修復を各 1 例に行った.術後合併症として脳梗塞を 1 例に認めた.また,術後にステント留置を行った例と再度BAPを行った例が各 1 例あった.【結論】左肺動脈の狭窄,特に屈曲した形態の場合はカテーテル治療の効果が低いため,根治手術の際に形成を行う場合は注意が必要である.

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