II-P-169
気腫肺を切除することで人工呼吸器を離脱できた心室中隔欠損症(VSD)の 2 例
社会保険中京病院心臓血管外科
野田 怜,櫻井 一,水谷真一,加藤紀之,野中利通,杉浦純也,波多野友紀

【背景】左右短絡性の先天性心疾患では,肺血流の増加と肺動脈圧の上昇による肺動脈の拡張により気管支圧迫が起こり,ときに肺気腫を伴うことがある.【目的】心室中隔欠損症にて呼吸器管理が必要な肺葉性気腫を起こし,肺気腫病変を切除することで呼吸機能の改善を認めた 2 症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例 1】1 カ月男児37週2,840g,正常分娩にて出生後,生後 1 カ月頃より喘鳴,チアノーゼ,嘔吐が出現し,近医にて肺気腫を伴ったVSDと診断.気道よりMRSAが検出されていたため,手術時には肺切除は行わず生後 3 カ月にVSD閉鎖術を行った.術後,一時的に抜管できたが,再挿管となり呼吸器離脱ができなかったため,2 期的に右側開胸で上中肺野の切除を行った.術後,呼吸器離脱でき,その他の肺気腫も改善し退院できた.【症例 2】 6 カ月女児39週3,308g,正常分娩にて出生.1 カ月検診にて陥没呼吸認め,VSD,肺高血圧症と診断された.生後 1 カ月にて肺絞扼術を施行後も呼吸障害悪化続き,生後 3 カ月より人工呼吸器管理となった.一旦抜管できたものの生後 5 カ月よりRSウイルス感染を生じ人工呼吸器管理で離脱困難となった.正中切開で一期的にVSDの根治術と右上中肺野の切除を行い,術後 4 日目に抜管でき,その後呼吸器管理から離脱できている.【結果】両症例とも肺気腫病変を含む肺葉切除により人工呼吸器より離脱し得た.【考察および結語】症例 1 では感染を危惧したこと,VSD閉鎖のみによる人工呼吸器離脱を期待して 2 期的な手術により肺葉切除とした.症例 2 では症例 1 の経験を踏まえ,VSDの根治手術とともに 1 期的に施行した.肺気腫病変が高度であり人工呼吸器依存性の例では,VSDの根治術時もしくは術後早期の肺葉切除を考慮する必要がある.

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