II-P-174
心外膜ペースメーカー留置後のリード断線に対する外科治療
静岡県立こども病院心臓血管外科
廣瀬圭一,藤本欣史,中田朋宏,登坂有子,井出雄二郎,城麻衣子,古武達也,大崎真樹,中田雅之,坂本喜三郎

【背景】小児におけるペースメーカー(PM)管理において,リード断線は体格や成長などから成人と比較し頻度の高い合併症である.一方,発症すると時に突然死や重篤な脳合併症などにつながると考えられ,注意が必要である.【目的】心外膜リード留置後のリード断線の臨床像を明らかにし,手術治療について検討すること.【対象】当科では複雑心奇形を伴う症例が多く,また静脈閉塞・成長なども考慮し,初回手術としては開胸下心外膜リード留置によるPM治療(電池は肋骨弓下に留置)を選択し,成長に応じて径静脈リードに移行する方針としている.当院開設以来心外膜リードによるPM治療を行ったのは81例(初回植え込み時月齢平均64.5 ± 54.4カ月).この中からリード断線を発症した13例(16.0%)を対象とした.男児 6,女児 7.初回断線発症時の月齢平均は117.0 ± 48.4カ月(52~197カ月)でリード植え込み後平均69.9 ± 43.8カ月経過していた.平均体重34.6 ± 21.2kg,身長130.6 ± 23.9cm.有症状は 4(意識消失 1,心不全 3).断線部位は肋骨弓下 5,ほかはポケット内および近傍.追跡期間は発症後平均62.6カ月(最大12年 9 カ月).【結果】治療不要であった 1 例を除き12例に対して合計17回の手術治療を行った.ポケット近傍のリード修復術のみ 9 例(3 例 2 回介入),ほかは開胸下再植え込み,リード修復 2 回→経静脈リード植え込み,開胸下再植え込み→リード修復各 1 例であった.いずれも手術死亡・遠隔死亡および重篤な合併症はみられなかった.リード修復術後の 5 年再手術回避率は65.6%(Kaplan-Meier法).【結語】心外膜リードによるPM管理中のリード断線は10歳前後で発症することが多かったが,無症状症例も多くみられた.リード断線に対して侵襲の少ないリード修復術が多くの場合有効であったが,複数回介入が必要となる症例もあり,注意深い観察が必要と考えられた.

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