II-P-178
心房中隔欠損,心室中隔欠損閉鎖施行例の包括医療期間への影響
愛媛大学附属病院脳卒中・循環器病センター臓器再生外科学1),愛媛大学大学院医学系研究科小児医学,愛媛大学医学部附属病院脳卒中・循環器病センター小児循環器部門2)
鹿田文昭1),長嶋光樹1),流郷昌裕1),今川 弘1),河内寛治1),村尾紀久子1,2),太田雅明2),山本英一2),檜垣高史2),石井榮一2)

【目的】診断群分類(DPC)を用いた診療報酬の支払い制度が導入されているが,小児循環器領域においても2008年度よりこの制度が導入され,入院期間の長期化により入院期間 3 に当該することや,DPCが出来高制になることが予想され,病院収益に影響する.単純心奇形(ASD,VSD)における包括医療期間内での分布と因子について検討した.【対象と方法】当施設では小児心臓血管外科が2008年 4 月に開設された.2008年 4 月~2008年12月,当院でのASD,VSD閉鎖施行26例を対象とした.VSD16例(1 歳未満 5 例),ASD 10例.平均手術施行年齢6.9 ± 13.3(2 カ月~67歳).平均体重16.2 ± 15.5(3.6~64.7kg).平均入院日数20.9 ± 9.1日(5~48日).入院期間 1 と 2 に該当するグループをA群,入院期間 3 と出来高制に該当する症例をB群と分け,術前因子,手術時間,人工呼吸期間などについて検討した.p < 0.05を有意差ありとした.【結果】手術・処置等 2 を要した症例は認めなかった.入院期間 1 はASD 1 例,入院期間 2 はASD 3 例,VSD 7 例(1 歳未満 1 例),入院期間 3 はASD 6 例,VSD 8 例(1 歳未満 3 例)であった.人工呼吸期間はA群:B群 = 8h:29h,手術時間はA群:B群 = 191分:249分,体外循環時間はA群:B群 = 66分:105分,心停止時間はA群:B群 = 41分:64分といずれも有意差を認めた.大動脈縮窄,心室中隔欠損を新生児期に大動脈縮窄修復,肺動脈絞扼を施行し,2 期的にVSD閉鎖,肺動脈形成を施行した症例を 4 例認めたが,入院期間 3 が 3 例,出来高制に当該する症例は 1 例であった.この出来高制の症例は,muscular type VSDを閉鎖した症例であったが,術後に徐脈を認め,長期間の観察期間を要した症例であった.【結語】手術時間,人工呼吸期間の延長が包括医療期間へ影響することが示唆された.医学的に可能であるならば早期抜管,早期退院が合併症予防という医学的側面だけでなく医療経済面においても重要と考えられた.

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