II-P-180
Total cavopulmonary connection術後に長期胸腔ドレナージを要した症例の検討
福井循環器病院小児科1),心臓血管外科2),京都府立医科大学小児心臓血管外科3)
西田公一1),合志桂太郎2),山岸正明3)

【はじめに】フォンタン術後の胸水は入院期間に大きく影響する.当院でtotal cavopulmonary connection(TCPC)術後に長期胸腔ドレナージを要した症例の臨床像について検討した.【症例】当院にて2006~2008年の間に施行したstaged TCPCの14例(1 例のみ手術を他院施行し当科で術後管理).手術時年齢は 1 歳 7 カ月~12歳 3 カ月(中央値 2 歳 4 カ月),手術時体重5.8kg~31.5kg(中央値11kg).疾患はTA 3 例,HLHS 2 例,無脾・多脾症候群各 1 例,左室型単心室 3 例,DORV 2 例,PA/IVS 1 例,TGA 1 例.TCPCは全例心外導管法で施行された.術後14日間以上の胸腔ドレナージを要した症例をドレナージ群(D群),その他を非ドレナージ群(ND群)とした.【結果】全14例中 5 例がD群に相当した.排液内容は漿液性胸水 2 例,乳び胸 2 例,心嚢ドレナージ 1 例であった.ドレナージ期間はD群では23~29日間,ND群では 2~10日間であり,術後在院日数はD群の平均47.2日に対しND群では24.8日であった.D群とND群では術前のPA圧(10.0 ± 2.7mmHg,9.0 ± 2.6mmHg),Rp(1.04 ± 0.37,1.62 ± 0.83)には差はなかったが,術前PAI(259.8 ± 58.4,360 ± 54.3)と手術時体重(9.3 ± 2.2,17.6 ± 7.9)はD群が有意に低値であった.乳び胸を呈した 2 例に対してはソマトスタチンアナログ(SA)持続静注療法を行い 1 例で有効,もう 1 例では無効であった.SA有効例は術後 1 年後に乳び胸が再発し再度SA療法を行った.この症例は手術時体重5.8kgで当院最小であった.【まとめ】手術時のPAI低値,低体重はTCPC後の長期胸腔ドレナージのリスク因子となる可能性が示唆された.

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