II-P-82
染色体異常に合併し早期に発症した拡張型心筋症の 2 例
宮城県立こども病院循環器科
田中高志,新田 恩,水城直人,小澤 晃

【背景および目的】染色体異常に伴って発症した拡張型心筋症(DCM)については以前より報告があり,また家族性発症例からDCMの原因遺伝子を特定した報告は最近急増してきている.今回DCMの発症が報告されていない染色体異常の 2 症例について報告し,原因遺伝子との関連についても考察する.【症例】症例 1 は 2 歳 8 カ月男児で生後まもなくに13 trisomyの診断を得たが先天性心疾患は認めず心機能も良好であった.2 歳 8 カ月時に約 1 週間の経過で進行した頻拍,機嫌不良で気付かれ,入院時左室駆出率は0.24と低下していたが,βブロッカー等の治療により全身状態は改善し 8 カ月経過しているが左室駆出率は低値のままである.症例 2 は 1 歳 9 カ月の男児で 2 番染色体部分欠失46,XY,del(2)(q24.2q31)を認め発達遅延と難治性てんかんとしてフォローしていたが先天性心疾患は認めず心機能は良好であった.1 歳 9 カ月時約 3 日間の経過で頻拍,発汗過多,呼吸促迫で気付かれ,入院時左室駆出率は0.21と低下しており発症後 2 カ月現在左室駆出率の改善は認めずカテコールアミン投与中である.【考察】13 trisomy症例に合併したDCMの報告例は過去に報告がないが,2 歳以上の生存例におけるDCM発症の可能性が示唆された.2 番染色体部分欠失症例では同箇所の欠失例でDCM発症の報告はないが,欠損箇所がDCMの原因遺伝子の一つであるtitin遺伝子(2q31.2)を含んでいる可能性があり興味深い.

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