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コクサッキーB群による新生児期急性心筋炎の 2 例
昭和大学横浜市北部病院こどもセンター1),循環器センター2),昭和大学医学部小児科3)
曽我恭司1),松岡 孝1),澤田まどか1),西岡貴弘1),山邊陽子2),富田 英2),上村 茂2),梅田 陽1),板橋家頭夫3)

【緒言】新生児期の心筋炎は分娩前数日の母体感染症候を認め,出生前後に心不全徴候が出現し,肝炎,髄膜炎,DICを合併するなど成人や小児期と異なる特徴がある予後不良な疾患である.今回新生児期急性心筋炎を 2 例経験したので報告する.【症例 1】日齢18,男児,在胎38週 2 日出生.母体は出産前日から発熱を認めた.患児は出生時から発熱を認め,某院NICUに入院となった.無菌性髄膜炎と診断され,抗生物質,ガンマグロブリンにて加療を受けていた.日齢11に胸部X線で心拡大,心エコーでLVEFの低下,MR・TRを認め,利尿剤の投与が行われた.しかし心機能の増悪傾向を示し,日齢18当科紹介入院となった.LVEFは0.49と低下,CK 121,トロポニンT陽性で急性心筋炎と診断し,カテコラミン,PDE III阻害剤の持続点滴,ACE阻害剤の内服などで管理し,生後 3 カ月無事退院となった.髄液のウイルス培養からCoxB5を検出した.【症例 2】日齢11,男児,在胎36週 6 日出生.母体は出産前日から感冒症状を認めた.患児は日齢10から下痢,哺乳低下を認め小児科医院を受診.日齢11,同院から胃腸炎の診断で紹介となった.来院時低体温,呻吟,心音減弱を認め入院とした.心エコーでLVEF 0.34と低下を認め,CK 216,トロポニンT陽性で急性心筋炎と診断した.カテコラミン,PDE III阻害剤の持続点滴,β遮断薬,ACE阻害剤の内服などで管理し,生後 2 カ月無事退院となった.CoxB3抗体(NT)の上昇を認めた.【考察】両症例とも比較的典型的な経過をとっているにもかかわらず,当院に紹介受診するまで心筋炎は疑われていなかった.予後の悪い疾患であり早期診断,早期治療が望まれる.予後の改善には治療方法を検討するとともに小児循環器科医以外への啓蒙が必要と考えられた.【結語】新生児期急性心筋炎の小児循環器科医以外への啓蒙が必要である.

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