II-P-87
左室心筋非緻密化層肥厚例における左心機能指標の検討
東邦大学医学部第二小児科
二瓶浩一,山口佳世,細野稔彦,岸田 勝

【目的】孤立性左室心筋緻密化障害(isolated noncompaction of left ventricle;INLV)は定義をはじめとして病態,予後など未解明な点が多い疾患である.今回,日常小児循環器診療の中でたまたま遭遇した左室心筋の非緻密化層の比率が高い患者において,心エコーにて左心機能上どのような影響がみられるのか検討した.【方法】対象は,年齢,性別に有意差を認めない左室後壁心筋全体の非緻密化層/緻密化層 > 2.0の 7 名(A群)と,≦ 2.0の20名(B群)であり,心エコーを用いて各種心機能指標について比較検討した.比較検討項目はEF,FS,E/AおよびTei indexである.【成績】A群およびB群ともに心機能に影響を与えるような合併症はなく,薬剤の投与も行われていない.収縮能の指標であるEFはA群 vs B群で59 ± 3%および61 ± 3%であり,FSも含め有意差を認めなかった.一方拡張能の指標としてのE/A,さらにTei indexの比較においてはA群 vs B群で1.66 ± 0.15 vs 1.53 ± 0.18,および0.24 ± 0.13 vs 0.30 ± 0.11であり,やはり有意差を認めなかった.【結論】INLVにおける心機能低下の理由の一つとして,肉柱構造自体による収縮障害や拡張障害の可能性が指摘されているが,今回の検討ではそのような傾向はみられなかった.なおA群の 7 名はINLVの概念に当てはまる可能性が高いと考えている.

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