II-P-89
連続 3 同胞に発症した乳児期早期拡張型心筋症
神戸市立医療センター中央市民病院小児科
宮越千智,山川 勝,冨田安彦

【背景】拡張型心筋症(DCM)はheterogenousな症候群である.6~8%は家族性で,同胞発生率は約20~25%,浸透度は年齢依存性とされる.【目的】高い浸透度をもって乳児期早期に発症する家族性DCMの臨床像検討.【方法】当科で経験した乳児DCM同胞例 3 例の後方視的研究.【第 1 子】女児.他院出生,在胎40週,3,570g,仮死なし.5 カ月時,呼吸困難,体色不良でER受診.左室拡大と収縮能低下(LVDd 43.1mm [+ 6.4SD],FS 0.18)を認め,呼吸管理,利尿薬,カテコラミン,PDE III阻害薬投与,一旦改善,呼吸管理離脱.第59病日感冒罹患直後に心肺停止,第75病日に死亡.剖検上心筋線維細小化,間質線維化を認めた.【第 2 子】女児.他院出生,36週,2,530g,Apgar 9/9.家族歴から当科紹介,左室拡大,収縮能低下が進行(6 カ月時LVDd 33.6mm[+ 5.6SD],FS 0.23),強心利尿薬,ACE阻害薬開始.5 歳 6 カ月現在FS 0.23,LVDd 46.6mm[+ 3.7SD],BNP 133pg/ml,無症状である.【第 3 子】男児.他院出生,39週,3,676g,Apgar 8/9.左室拡大,収縮能低下を認め日齢22に当科紹介,LVDd 24mm[+ 2.4SD],FS 0.25,BNP 112pg/ml,強心利尿薬開始.7 カ月現在LVDd 28mm[+ 2.4SD],FS 0.25,BNP 26pg/ml,無症状である.ほかに家族歴なし.保護者の不同意により遺伝子検索は未施行である.【考察】乳児早期発症DCMの 3 同胞例を経験した.第 2,3 子は症候化前から管理し,経過良好である.家族性DCMではカウンセリングの問題が不可避であるが,本例では保護者が介入に消極的で,心理的支援に難渋した.乳児期発症家族性DCMについて文献的考察を加えて報告する.

閉じる