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III-PD2-4 |
WPW症候群に対するATP負荷・アミサリン負荷試験 |
埼玉県立小児医療センター循環器科1),東京慈恵会医科大学小児科2)
星野健司1),小川 潔1),菱谷 隆1),菅本健司1),河内貞貴1),伊藤怜司1),井田博幸2) |
【はじめに】小児期WPW症候群の多くは無症候性である.ATP急速静注後の房室ブロックの有無,δ波の増大・QRS波形の変化の有無で,房室副伝導路(頻拍発作を起こす可能性がある)と束枝―心室副伝導路(頻拍発作を起こす可能性はない)の鑑別が可能である.一方,Amisalin静注によりδ波が消失する場合は,不応期が270msecよりも長く(発作時の心拍数が220/min以下)危険性が低いとされ,WPW症候群の管理方針を決定するのに有用である.【対象・方法】当センター心臓検診外来および循環器外来を受診しているWPW症候群の患児102人(男:女 = 57:45,平均年齢9.0歳)を対象とした.ATPの急速静注は0.3mg/kgから開始し(最近は0.2mg/kgから開始),必要に応じて0.4mg/kg・0.5mg/kg(最大20mg)と増量した.Amisalin静注は,ATP負荷試験終了後に引き続いて行い,10mg/kgを 3 分間で投与した.ATP負荷は100例に,Amisalin負荷は50例に行った.【結果】ATP急速静注の結果,房室ブロックを認めた(束枝―心室副伝導路)のは47例,δ波の増大・QRS波形の変化を認めた(房室副伝導路)のは41例であった.いずれの変化も認めないのが 7 例,房室ブロックとQRSの変化を同時に認め,ATP sensitiveのKent束と考えられたのが 3 例あった.アミサリン静注を行った50例中,33名でδ波が消失し,16名でδ波は残存した(1 名は静注前からδ波認めず).また 1 例が,ATP急速静注(0.3mg/kg)後に10秒の心停止が誘発された.【まとめ】ATP急速静注で束枝―心室副伝導路と診断されれば,頻拍発作を起こす可能性はなく定期検診も不要となる.またアミサリン負荷試験は,無症状のWPW症候群の頻拍発作時の危険性を予想することが可能であり,安全性・簡便性の面からも有用と考えられた. |
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