III-C-7
補助人工心臓から離脱するも再装着を余儀なくされた心筋症 3 例の経過
大阪大学大学院医学系研究科小児科学1),心臓血管外科学2)
内川俊毅1),小垣滋豊1),成田 淳1),岡田陽子1),上野高義2),市川 肇2),福嶌教偉2),澤 芳樹2),大薗恵一1)

【背景】近年心筋症の患者に対して心臓移植まで待機的に補助人工心臓を用いる症例が蓄積されつつある.今回拡張型心筋症(DCM)に対し補助人工心臓を導入し,その離脱を試みたが再装着を余儀なくされた 3 例について現状と問題点を報告する.【症例 1】11歳女児.7 歳時にDCMと診断.カテコラミン投与,IABP(大動脈内バルーンポンプ)装着も心機能改善認めず診断後約 1 カ月で左心補助人工心臓(LVAS)装着.Off test後LVAS離脱試みるが心機能低下し再装着.移植適応となり渡独しLVAS装着約10カ月後に心臓移植され現在フォロー中.【症例 2】12歳女児.10歳時インフルエンザウィルス感染時に心筋炎となりその後DCMと診断.βブロッカー導入で心不全改善しつつあったが,次第に心不全進行.カテコラミン依存性となりさらに心不全の進行認めたため罹患後約 1 年でLVAS装着.心機能の改善認め装着約 3 カ月半後off testを経てLVAS離脱となったが,さらに 3 カ月後再び心機能低下しLVAS再装着となった.現在LVAS使用下にて心臓移植待機中.【症例 3】14歳男児.11歳時,労作時易疲労感契機に精査されDCMと診断.内科的治療にてやや心不全改善認めたものの心室性頻拍(VT),心室性期外収縮頻発.その後pulselessVTも出現したためPCPS(経皮的心肺補助システム),IABP装着となった.当院搬送後LVAS装着し,βブロッカー,アミオダロン導入.約 4 カ月後 2 回のoff testを経てLVAS離脱,ICD埋め込みとなった.その後内科的治療に抵抗してVT多発しICD作動頻回となり次第に血行動態悪化.経皮的カテーテル心筋焼却術施行するも効果得られずLVAS再装着となった.現在LVAS使用下にて心臓移植待機中.【考察】補助人工心臓の国内における小児への使用は症例数が少なくいまだ情報の蓄積が不十分である.離脱の可否およびその時期の決定の評価,離脱後のより良い管理方法などについては今後さらなる症例の蓄積を要する.

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