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III-D-2 |
小児における肥大型心筋症に対するシベンゾリン治療 |
北海道大学病院小児科1),釧路赤十字病院小児科2)
村上智明1),上野倫彦1),武田充人1),鈴木靖人2) |
肥大型心筋症はしばしば突然死の原因となり得る遺伝性疾患である.肥大型心筋症の血行動態的問題点は心室内狭窄と拡張障害であるが,成人ではこれらの血行動態的問題点に対するシベンゾリンの有用性が報告されている.われわれは小児肥大型心筋症におけるシベンゾリンの有用性について検討した.対象は肥大型心筋症と診断された 5 例(男性 1 /女性 4,11.8 ± 4.9歳)全例に拡張障害が認められ,3 例に心室内圧較差を認めた.シベンゾリン内服開始前に心臓カテーテル検査により負荷試験を行った.シベンゾリン1.4mg/kgを 5 分かけて静注することにより左室拡張末期血圧(25 ± 10.1~21.8 ± 10.0mmHg)および左室内圧較差(10~75から 0~6mmHg)は改善した.この結果からシベンゾリン投与の方針となった.全例においてベータ遮断剤が投与し,さらにシベンゾリンを追加投与した.シベンゾリン内服開始後の心臓超音波検査において左室内圧較差が認められた症例はなかった.肥大型心筋症において拡張障害の程度を表すとされる脳性ナトリウム利尿ペプチドはシベンゾリン投与により著しく低下した(1,108 ± 223 ~356 ± 54 pg/ml).シベンゾリンは小児肥大型心筋症においても治療選択肢の一つとなり得る. |
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