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III-D-6 |
学童期の肥大型心筋症 |
静岡県立こども病院循環器科
満下紀恵,佐藤慶介,北村則子,増本健一,早田 航,金 成海,新居正基,田中靖彦,小野安生 |
【背景】心臓検診の目的の一つには,心筋症発見があげられる.なかでも肥大型心筋症は,初発症状が突然死であるリスクが高く,無症状であっても慎重な経過観察,運動制限,場合により投薬治療などが必要である.が,症状,心電図変化,心エコー所見には解離がみられることがあり,診断管理に際しては,注意を要する.【目的】学童期に検診で発見された肥大型心筋症の臨床像を把握する.【方法】当院開院依頼,検診契機で発見された肥大型心筋症例につき,心電図変化,心エコー所見の変化,臨床経過,治療,学校生活管理を調べる.【結果】開院以来,当院で肥大型心筋症と診断されフォローされてきた児は72例おり,うち28例が心臓検診を契機に診断された.幼児期内科検診で 2 例,小学校 1 年生の心電図検診で 4 例,4 年生の心電図検診で 4 例,中学校 1 年生の心電図検診が14例,内科検診が 1 例,その他 3 例と中学校で発見される例が半数以上をしめた.観察期間は 1 年~15年間(中央値 4 年),drop out例が 4 例あった.合併疾患は 2 例.肥大型心筋症の家族歴は 3 例.非対称性中隔肥厚が17例,全周性肥厚が 8 例,心尖部肥厚が 2 例.発見時の心電図異常は,10例がST-T異常,9 例は異常Q波,その他 6 例だが,心雑音で発見された例は心電図異常を認めなかった.経過で心電図異常が変化した例は 5 例.心エコー所見が改善した例が 4 例.胸痛や失神などの症状出現例が 5 例.死亡症例は 5 例だったが,いずれも突然死だった.死亡例のうち有症状例は 2 例のみで,drop out例が 1 例含まれた.C,D管理が12例,E管理11例だった.投薬例は 6 例.【考察とまとめ】学校検診で発見される肥大型心筋症は,孤発例が多く合併疾患は少なかった.経過中,症状,心電図,心エコー所見が変化した例は半数近くにのぼり,軽症例や境界領域と思われても慎重に経過観察することが必要と思われた. |
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